あなたの住んでいる街を歩いていて、「この家、もう誰も住んでいないな」と感じたことはありませんか?
実は、日本の住宅の13.8%が空き家です。およそ7軒に1軒は誰も住んでいない計算になります。空き家の放置は景観の悪化だけではありません。倒壊リスク、火災リスク、治安の悪化、そして固定資産税の問題まで──私たちの暮らしに直結する課題です。
この記事では、47都道府県の空き家率をランキング形式で完全公開し、さらに「築50年超の住宅比率」「耐震改修率」「高齢化率との相関」まで、データで「住宅の寿命」を多角的に分析します。あなたの住む都道府県は、何位にランクインしているでしょうか?
都道府県別 空き家比率ランキング(完全版)
まずは最も気になる空き家率の全国ランキングから見ていきましょう。
使用指標: 空き家比率
1位の徳島県(21.3%)と最下位の埼玉県(9.3%)では、空き家率に2.3倍の開きがあります。上位には徳島県、和歌山県、鹿児島県など、四国・九州の県が並びます。全国平均の13.8%を大きく上回る地域では、すでに「5軒に1軒が空き家」という状況です。
次に、地図で全国の分布を俯瞰してみましょう。
地図を見ると、はっきりとした地域パターンが浮かび上がります。四国・中国地方・九州の一部に空き家率の高い県が集中している一方、首都圏や中京圏は比較的低い水準にとどまっています。これは単純な「都会 vs 地方」の問題ではなく、産業構造の変化、若年人口の流出、そして後述する高齢化率と密接に関係しています。
特に注目すべきは、観光地として有名な県でも空き家率が高いケースがあること。観光客が訪れるエリアと住民が暮らすエリアでは、まったく異なる現実があるのです。
空き家比率ランキングをもっと見る「築50年超の住宅」が多い県ランキング
空き家率だけでは見えない問題があります。それは**住宅の「老朽化」**です。
1970年以前に建てられた住宅、つまり築50年を超える住宅は、現在の建築基準法の耐震基準(1981年の新耐震基準)を満たしていない可能性が高く、大地震が起きた場合の倒壊リスクが極めて高いとされています。
では、こうした「築50年超の住宅」が全住宅に占める割合が高い都道府県はどこでしょうか?
算出方法:1970年以前建築の住宅数 ÷ 住宅総数 × 100
1位の島根県(13.2%)を筆頭に、鳥取県(10.4%)、富山県(10.3%)と、日本海側の県が上位に並びます。一方、北海道(3.5%)、埼玉県(3.8%)は低い水準です。
このランキングを見ると、空き家率ランキングとは異なる顔ぶれが上位に登場します。歴史のある街並みが残る地域や、高度経済成長期に大量の住宅が建設された都市部の近郊でも、築50年超の住宅が目立ちます。
ポイントは、築年数の古い住宅が密集しているエリアでは、1軒の倒壊が周囲に連鎖するリスクがあるということです。阪神・淡路大震災でも、密集した老朽木造住宅の連鎖倒壊・火災が被害を拡大させた教訓があります。
あなたの住む地域では、周囲にどれくらい古い住宅がありますか? 日頃は意識しないかもしれませんが、防災の観点からも一度チェックしておく価値があるデータです。
空き家率×高齢化率──「人がいなくなる住宅地」を予測する
ここからは、2つのデータを掛け合わせた分析に入ります。空き家率と65歳以上人口比率(高齢化率)の関係を見てみましょう。
散布図を見ると、右肩上がりの傾向が読み取れます。高齢化率が高い都道府県ほど、空き家率も高い。
これは直感的にも理解できる関係です。高齢者の一人暮らし世帯で住人が亡くなったり施設に入ったりすると、その住宅は空き家になります。相続人が遠方に住んでいれば、管理も売却もされないまま放置される──これが全国で起きているのです。
10年後の「空き家率」を予測する
さらに怖いのは、この傾向が加速するということです。
現在40〜50代の団塊ジュニア世代が高齢者になる2040年代には、高齢化率はさらに上昇します。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2035年時点で高齢化率が40%を超える都道府県も複数出てくる見込みです。
現在の相関関係がそのまま続くとすれば、10年後の空き家率は現在よりも数ポイント上昇し、一部の県では空き家率が25%を超える──つまり4軒に1軒が空き家になる可能性すらあります。
これは単なる統計の話ではなく、あなたの家の隣の家が空き家になるかもしれないという、非常にリアルな問題なのです。
放置される危険な住宅──耐震改修工事の実施状況
老朽化した住宅がすべて危険なわけではありません。適切な耐震改修工事が行われていれば、築50年超でも安全に住み続けることができます。
問題は、耐震改修がどれだけ進んでいるかです。
算出方法:2019年以降に耐震改修工事を実施した持ち家数 ÷ 持ち家総数 × 100
全国的に見ても、耐震改修工事の実施率は決して高くありません。最も高い高知県でも4.5%、最も低い沖縄県は1.0%と、大半の持ち家で耐震改修が行われていない状況です。
能登半島地震の教訓
2024年1月の能登半島地震は、この問題の深刻さを改めて突きつけました。
被災地では、旧耐震基準で建てられた木造住宅の倒壊が相次ぎ、多くの方が犠牲になりました。過疎地域であったことから、そもそも耐震改修の補助制度が利用しにくかったり、高齢の住民が改修費用を負担できなかったりという構造的な問題も明らかになっています。
能登半島地震の教訓は、「空き家率が高い地域」「高齢化率が高い地域」「耐震改修率が低い地域」──これらが重なるエリアこそ、次の大地震で最も脆弱な場所であるということです。あなたの住む地域は大丈夫でしょうか?
民営賃貸 vs 持ち家──住居コストの地域格差
ここまで「住宅の安全性」に焦点を当ててきましたが、視点を変えて「住居コスト」についても見ていきましょう。空き家率や住宅の老朽化は、実は住居コストとも密接に関係しています。
このチャートには、面白いパターンが現れます。持ち家率が高い地域ほど、賃貸家賃が安いという負の相関です。
一見すると「家賃が安いから持ち家を買わなくてもいいのでは?」と思うかもしれませんが、実態は逆です。地方では賃貸物件の選択肢が少なく、家賃が安くても質の高い物件が限られるため、結果的に持ち家を選ぶ人が多くなります。一方、東京や大阪などの大都市圏では、家賃は高いものの賃貸物件の選択肢が豊富で、持ち家にこだわらないライフスタイルが定着しています。
「持ち家率が高い=住みやすい」は本当か?
よく「持ち家率が高い地域は住みやすい」と言われますが、これは必ずしも正しくありません。
持ち家率が高い地域の多くは、前述の通り空き家率も高齢化率も高い傾向にあります。つまり、持ち家を持っていても、その資産価値は下がり続け、将来的に売却も困難になる可能性があるのです。「マイホーム=安心な資産」という常識が、地域によっては大きく揺らいでいます。
家賃ランキングを見ると、1位の東京都(8,800円)と最下位の青森県(3,177円)では約2.8倍の開きがあります。3.3m²あたりの単価でこの差なので、ワンルーム(20m²)に換算すると月額約3.4万円もの差になります。
移住や引っ越しを考えている方にとって、このデータは非常に重要な判断材料になるはずです。家賃の安さだけでなく、空き家率・高齢化率・耐震改修率などを総合的に見ることで、「本当に住みやすい地域」が見えてきます。
民営賃貸家賃ランキングをもっと見るまとめ:データが語る「日本の住宅」の現在地
ここまでのデータ分析で見えてきた5つのポイントを整理します。
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