都道府県別刑法犯認知件数に占める窃盗犯の割合ランキング(2022年度)

はじめに

刑法犯認知件数に占める窃盗犯の割合は、地域の犯罪構造を理解する上で重要な指標です。この割合が高い地域では、刑法犯全体に占める窃盗犯の比重が大きく、財産犯への対策が重要となります。一方、割合が低い地域では、他の犯罪類型の比重が相対的に高いことを示しています。

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上位県と下位県の比較

上位5県の詳細分析

栃木県(1位)

栃木県75.28%(偏差値67.6)で全国1位となっています。栃木県では刑法犯の4分の3以上が窃盗犯で占められており、全国平均を大きく上回る結果となっています。これは県内での窃盗犯対策が重要な課題であることを示しています。

徳島県(2位)

徳島県74.11%(偏差値65.2)で2位です。四国地方では最も高い割合を示しており、人口密度が比較的低い地域でも窃盗犯の比重が高いという特徴があります。

千葉県(3位)

千葉県73.60%(偏差値64.1)で3位となっています。首都圏の一角を担う千葉県では、都市部での窃盗犯の発生が多いことが推測されます。

石川県(4位)

石川県72.96%(偏差値62.7)で4位です。北陸地方では最も高い割合を示しており、地域の犯罪構造の特徴を表しています。

茨城県(5位)

茨城県72.83%(偏差値62.5)で5位となっています。関東地方では栃木県、千葉県に次ぐ高い割合を示しています。

下位5県の詳細分析

長崎県(47位)

長崎県55.61%(偏差値26.1)で全国最下位となっています。刑法犯全体に占める窃盗犯の割合が半分程度と、他の犯罪類型の比重が相対的に高いことを示しています。

香川県(46位)

香川県57.06%(偏差値29.2)で46位です。四国地方では最も低い割合を示しており、同じ四国でも県によって犯罪構造に大きな違いがあることがわかります。

和歌山県(45位)

和歌山県59.95%(偏差値35.3)で45位となっています。近畿地方では最も低い割合を示しています。

北海道(44位)

北海道60.34%(偏差値36.1)で44位です。広大な土地を持つ北海道では、窃盗犯以外の犯罪類型の比重が相対的に高いことがうかがえます。

兵庫県(43位)

兵庫県61.25%(偏差値38.0)で43位となっています。神戸市などの大都市を抱える兵庫県では、多様な犯罪が発生していることが推測されます。

地域別の特徴

関東地方

関東地方では栃木県、千葉県、茨城県が上位に位置しており、都市部での窃盗犯の比重が高い傾向が見られます。一方で、東京都は29位(65.28%、偏差値46.5)と中位にとどまっており、多様な犯罪が発生していることがうかがえます。

四国地方

四国4県の中でも大きな差が見られ、徳島県が2位の一方で香川県が46位となっています。同じ地方内でも犯罪構造に大きな違いがあることを示しています。

九州・沖縄地方

九州地方では長崎県が最下位となっているほか、沖縄県も38位(62.47%、偏差値40.6)と比較的低い割合を示しています。この地域では窃盗犯以外の犯罪類型の比重が高い傾向があります。

北海道・東北地方

北海道が44位、青森県が41位(62.02%、偏差値39.6)など、比較的低い割合を示す県が多く見られます。寒冷地特有の犯罪構造があることが推測されます。

都市部と地方の比較

大都市圏では、千葉県や埼玉県(9位、71.81%、偏差値60.3)などが上位に位置する一方で、東京都や大阪府(8位、72.01%、偏差値60.7)は中~中上位となっています。これは大都市部では窃盗犯以外の多様な犯罪も発生しているためと考えられます。

統計データの基本情報と分析

2022年度のデータを統計的に分析すると、全国平均は約65.8%となっています。最高値の栃木県(75.28%)と最低値の長崎県(55.61%)の差は19.67ポイントと、都道府県間で大きな格差が存在しています。

標準偏差は約4.8%で、データの散らばりは比較的大きく、地域による犯罪構造の違いが明確に表れています。四分位範囲(第1四分位点から第3四分位点)を見ると、約62%から71%の間に半数の都道府県が分布しており、多くの地域で窃盗犯が刑法犯の6~7割を占めていることがわかります。

分布の形状を見ると、やや左に偏った分布となっており、窃盗犯の割合が高い地域が多い傾向があります。外れ値として、長崎県や香川県などの低い値が特徴的です。

まとめ

2022年度の都道府県別刑法犯認知件数に占める窃盗犯の割合は、栃木県が最も高く75.28%、長崎県が最も低く55.61%となっています。関東地方の一部や徳島県で高い割合を示す一方で、九州地方や四国の一部、北海道などで低い割合となっています。

この指標は地域の犯罪構造を理解する上で重要であり、窃盗犯対策と他の犯罪類型への対策のバランスを考える際の基礎資料として活用できます。高い割合を示す地域では窃盗犯への重点的な対策が、低い割合を示す地域では多様な犯罪類型への総合的な対策が求められると考えられます。

出典