2022年度の都道府県別覚醒剤取締検挙件数について、警察庁の統計データを基に詳細な分析を行いました。全国的に薬物犯罪への取り締まりが強化される中、都道府県間で大きな格差が見られる状況となっています。
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上位県と下位県の比較
上位5県の状況
覚醒剤取締検挙件数の上位5県は、いずれも人口規模の大きな都市部に集中しています。
東京都が1,453件(偏差値94.1)で全国1位となり、他県を大きく引き離しています。首都圏という立地特性や人口密度の高さが影響していると考えられます。
大阪府が1,187件(偏差値84.9)で2位に位置し、関西圏の中心都市として高い数値を示しています。東京都に次ぐ規模の都市圏での検挙状況を反映しています。
愛知県が686件(偏差値67.5)で3位となり、中部地方最大の都市圏における薬物犯罪の実態を示しています。名古屋市を中心とした都市部での検挙が多くを占めると推測されます。
神奈川県が535件(偏差値62.3)で4位、福岡県が525件(偏差値61.9)で5位となり、いずれも政令指定都市を抱える主要都府県が上位を占める結果となっています。
下位5県の状況
覚醒剤取締検挙件数の下位5県は、いずれも人口規模の小さい地方部に集中しています。
秋田県が4件(偏差値43.8)で全国最少となり、極めて低い検挙件数を示しています。人口規模や地理的要因が影響していると考えられます。
岩手県が12件(偏差値44.1)で46位、山形県が13件(偏差値44.2)で45位と続き、東北地方の県が下位に集中する傾向が見られます。
徳島県と長崎県がともに17件(偏差値44.3)で43位(同順位)となり、四国・九州地方でも比較的少ない検挙件数を示しています。
地域別の特徴分析
首都圏では、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県すべてが上位に位置し、都市部における薬物犯罪の集中が顕著に現れています。特に東京都の突出した数値は、全国の薬物犯罪の中心地としての側面を示しています。
関西圏では、大阪府が全国2位の高い数値を示し、兵庫県も7位に位置するなど、関西地方の主要都市部での検挙が多い状況です。
東北地方では、多くの県が下位に集中しており、秋田県、岩手県、山形県が特に少ない検挙件数となっています。人口密度の低さや地理的要因が影響している可能性があります。
九州地方では、福岡県が5位と高位置にある一方で、佐賀県、長崎県などは下位に位置し、地域内での格差が大きくなっています。
格差と課題の考察
都道府県間の格差は非常に大きく、最多の東京都(1,453件)と最少の秋田県(4件)では約363倍の差があります。この格差は人口規模の違いだけでなく、都市部への人口集中、交通の要衝としての地理的条件、経済活動の活発さなど、複合的な要因によって形成されていると考えられます。
上位県では、薬物の流通拠点となりやすい都市部の特性や、人口密度の高さが検挙件数の増加につながっている可能性があります。一方で、下位県では人口規模の小ささに加え、コミュニティの結束の強さや地域の監視機能が犯罪抑制に寄与している面もあると推測されます。
統計データの基本情報
統計データの分析では、平均値が約142.4件となる一方で、中央値は57件程度と推測され、分布に大きな偏りがあることが分かります。東京都や大阪府などの上位県が平均値を大幅に押し上げており、多くの県は平均値を下回る状況です。
標準偏差が大きく、都道府県間のばらつきが非常に大きいことを示しています。これは人口規模や都市化の程度といった構造的要因が検挙件数に強く影響していることを表しています。
四分位範囲を見ると、上位25%の県と下位25%の県の間には大きな格差があり、薬物犯罪の地域格差が明確に現れています。
まとめ
2022年度の覚醒剤取締検挙件数ランキングでは、東京都が圧倒的な1位となり、大都市部に検挙件数が集中する傾向が明確に示されました。上位県はいずれも人口規模の大きな都市部であり、下位県は人口規模の小さい地方部に集中しています。
この結果は、薬物犯罪が都市部に集中する傾向を示すとともに、人口密度や都市化の程度が検挙件数に大きく影響することを表しています。各都道府県においては、地域の実情に応じた薬物犯罪対策の強化が求められる状況といえるでしょう。