都道府県別防犯ボランティア団体数ランキング(2023年度)
概要
防犯ボランティア団体数は、地域住民が自主的に防犯活動に参加している団体の総数を示す指標です。この統計は、地域の安全・安心に対する住民の意識の高さや、コミュニティの結束力を測る重要な指標として位置づけられています。
2023年度のデータでは、全国47都道府県の防犯ボランティア団体数に大きな地域差が見られ、最上位の埼玉県と最下位の高知県では約40倍の開きがあります。首都圏を中心とした人口密集地域で団体数が多い傾向が顕著に現れており、地域コミュニティの防犯意識や住民参加の活発さが都道府県によって大きく異なることが明らかになっています。
この指標は、地域の治安維持における住民参加の度合いを示すとともに、地域コミュニティの結束力や社会参加意識の高さを反映する重要な社会指標として注目されています。
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上位5県の詳細分析
埼玉県が5,871団体(偏差値94.3)で圧倒的な1位を占めています。これは2位の東京都を大きく上回る数値で、県内の住宅地域における地域コミュニティの活発な防犯活動が背景にあると考えられます。埼玉県は首都圏のベッドタウンとして発展し、住宅地が多く存在することから、地域住民による自主的な防犯意識が高まっていることが要因として挙げられます。
東京都は3,618団体(偏差値74.0)で2位となっています。人口規模を考慮すると埼玉県ほど高い密度ではありませんが、多様な地域コミュニティが存在し、それぞれが独自の防犯活動を展開していることが特徴的です。
神奈川県は3,483団体(偏差値72.8)で3位に位置しています。東京都に近い数値を示しており、首都圏における住宅地域の防犯意識の高さが反映されています。横浜市や川崎市などの大都市部から、郊外の住宅地まで幅広い地域で防犯ボランティア活動が活発に行われています。
千葉県は3,170団体(偏差値70.0)で4位となっています。首都圏の一角を担う千葉県でも、住宅地域を中心とした地域コミュニティによる防犯活動が盛んに行われていることがうかがえます。
愛知県は2,600団体(偏差値64.9)で5位に入っています。中部地方最大の都市圏を有する愛知県では、名古屋市を中心とした都市部から郊外にかけて、地域の安全確保に向けた住民参加が活発に行われています。
下位5県の詳細分析
滋賀県は216団体(偏差値43.5)で43位となっています。人口規模に対して団体数が相対的に少ない状況が見られ、地域の防犯活動における組織化の課題が示唆されています。
和歌山県は210団体(偏差値43.5)で44位に位置しています。山間部が多い地理的特性により、防犯ボランティア団体の組織化が進みにくい環境にあることが考えられます。
秋田県は203団体(偏差値43.4)で45位となっています。人口減少が進む地域では、防犯活動の担い手確保が課題となっており、団体数の少なさもその影響を受けていると推測されます。
鳥取県は151団体(偏差値42.9)で46位に位置しています。人口規模が小さいことに加え、地域コミュニティの防犯活動における組織化が他県と比較して進んでいない状況が見られます。
高知県は148団体(偏差値42.9)で最下位となっています。四国地方の中でも特に団体数が少なく、地域の防犯活動における住民参加の促進が今後の課題として挙げられます。
地域別の特徴分析
関東地方では、埼玉県、東京都、神奈川県、千葉県が上位4位を独占しており、首都圏における防犯ボランティア活動の活発さが際立っています。この地域では住宅地域が多く、地域コミュニティによる自主的な防犯意識が高いことが特徴的です。
中部地方では、愛知県が5位に入る一方で、他県との格差が見られます。都市部と郊外・山間部での防犯活動の組織化に違いがあることが推測されます。
近畿地方では、大阪府や兵庫県などの都市部を有する府県でも、関東地方ほど高い数値は示していません。地域の防犯活動における組織化のアプローチに地域差があることがうかがえます。
中国・四国地方では、全体的に団体数が少ない傾向が見られ、特に四国地方の県が下位に集中しています。人口規模や地理的条件が防犯ボランティア活動の組織化に影響を与えていると考えられます。
九州・沖縄地方では、福岡県などの都市部を有する県でも、関東地方ほどの高い数値は見られず、地域特有の防犯活動のあり方が存在することが示唆されます。
格差や課題の考察
最上位の埼玉県(5,871団体)と最下位の高知県(148団体)の間には39.7倍という大きな格差が存在しています。この格差は単純な人口比を超えた差であり、地域コミュニティの防犯意識や組織化の程度に大きな違いがあることを示しています。
地域間格差の主要因として、都市化の程度、住宅地域の密度、地域コミュニティの結束力、行政の支援体制などが挙げられます。特に首都圏では、住宅地域における地域住民の防犯意識が高く、自主的な活動が活発に行われている一方で、人口減少地域では担い手不足が課題となっています。
この格差は地域の安全・安心レベルに直接的な影響を与える可能性があり、防犯ボランティア活動の支援体制の充実や、地域特性に応じた防犯活動の推進が重要な政策課題となっています。
統計データの基本情報
統計分析の結果、平均値が中央値を上回っていることから、データ分布に正の歪みが見られます。これは、埼玉県をはじめとする上位県の値が他県を大きく上回っていることを示しており、防犯ボランティア団体数の分布において顕著な地域格差が存在することを統計的に裏付けています。
標準偏差の大きさは、都道府県間のばらつきが相当程度大きいことを示しており、特に首都圏とその他地域での差が顕著に現れています。四分位範囲の分析では、上位25%の都道府県と下位25%の都道府県の間に大きな開きがあることが確認され、地域による防犯活動の組織化の程度に大きな違いがあることが統計的に明らかになっています。
外れ値として特定される埼玉県の存在は、同県における特異的な防犯ボランティア活動の活発さを示しており、他の都道府県との比較において注目すべき事例として位置づけられます。
まとめ
- 埼玉県が圧倒的な1位で、首都圏4都県が上位を独占する構造
- 最上位県と最下位県の間に約40倍の大きな格差が存在
- 関東地方における防犯ボランティア活動の特異的な活発さが顕著
- 中国・四国地方、特に四国地方の県が下位に集中
- 都市化の程度と住宅地域の密度が団体数に大きく影響
- 人口減少地域における防犯活動の担い手不足が課題
- 地域コミュニティの結束力と防犯意識の地域差が明確に表れている
今後は、地域特性に応じた防犯ボランティア活動の支援体制の整備と、地域間格差の縮小に向けた取り組みが重要な課題となります。継続的なデータ収集とモニタリングにより、地域の安全・安心確保に向けた住民参加の動向を注視していく必要があります。