2022年度の都道府県別火災出火件数について、全国47都道府県のデータを分析し、ランキング形式で紹介します。火災は人命や財産に甚大な被害をもたらす重要な安全課題であり、各地域の出火状況を把握することは防災対策を考える上で重要な指標となります。
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上位県と下位県の比較
上位5県の特徴
1位:東京都
東京都が3,970件(偏差値96.4)で全国1位となりました。日本最大の人口を抱える首都圏の中心地として、建物密度が高く、人口密度も非常に高いことが火災出火件数の多さに影響していると考えられます。
2位:神奈川県
神奈川県が1,895件(偏差値66.3)で2位に位置しています。首都圏の一角を担う神奈川県は、横浜市、川崎市などの大都市を抱え、人口も多いことが要因として挙げられます。
3位:愛知県
愛知県が1,865件(偏差値65.8)で3位となりました。中部地方最大の都市圏である名古屋都市圏を中心として、工業地帯も多く、人口密度の高さが火災出火件数に反映されています。
4位:大阪府
大阪府が1,844件(偏差値65.5)で4位に位置しています。関西地方の中心地として、高い人口密度と都市機能の集積が火災出火件数の多さにつながっています。
5位:千葉県
千葉県が1,833件(偏差値65.4)で5位となりました。東京都に隣接し、首都圏の重要な構成要素として、人口増加と都市化の進展が背景にあると考えられます。
下位5県の特徴
47位:富山県
富山県が154件(偏差値41.0)で全国最少となりました。人口規模が比較的小さく、地理的条件や建物の構造・配置などが火災出火件数の少なさに寄与していると推測されます。
46位:福井県
福井県が172件(偏差値41.3)で下位2位となりました。北陸地方の小規模県として、人口密度の低さや地域特性が火災出火件数の少なさにつながっています。
45位:鳥取県
鳥取県が193件(偏差値41.6)で下位3位に位置しています。全国最少の人口を持つ県として、火災出火件数も相対的に少ない結果となっています。
44位(同率):石川県・徳島県
石川県と徳島県がともに232件(偏差値42.2)で同率下位4位となりました。両県とも人口規模が小さく、地域特性が火災出火件数に影響していると考えられます。
地域別の特徴分析
関東地方
関東地方は軒並み上位にランクインしており、特に東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県が上位10位以内に入っています。首都圏の人口集中と都市化の進展が火災出火件数の多さに直結していることが明確に示されています。
近畿地方
大阪府、兵庫県、京都府が中位から上位に位置する一方、奈良県、和歌山県は中位から下位に位置しており、地域内でも差が見られます。
中部地方
愛知県が上位に位置する一方、北陸地方の富山県、福井県、石川県は下位グループに属しており、同じ中部地方でも大きな格差が存在します。
九州・沖縄地方
福岡県が上位に入る一方、他の県は中位から下位に分散しており、地域内での差が顕著です。
人口規模と火災出火件数の関係
火災出火件数のランキングを見ると、人口規模の大きな都道府県が上位を占める傾向が明確に現れています。これは火災出火件数が人口密度、建物密度、都市機能の集積度と密接な関係があることを示しています。一方で、人口規模の小さな県では火災出火件数も相対的に少なく、地理的・気候的条件や建物構造の違いなども影響していると考えられます。
統計データの基本情報と分析
2022年度の火災出火件数データを統計的に分析すると、平均値は約659件、中央値は516件となっており、平均値が中央値を上回っていることから、分布が上位に歪んでいることがわかります。これは東京都をはじめとする大都市部の火災出火件数が突出して多いことを反映しています。
標準偏差は約578件と大きく、都道府県間のばらつきが非常に大きいことを示しています。最大値(東京都の3,970件)と最小値(富山県の154件)の差は約25.8倍に達し、地域格差の大きさが際立っています。
四分位範囲(第3四分位値640件-第1四分位値316件=324件)から、中位50%の都道府県は比較的狭い範囲に集中していることがわかります。一方で、上位25%に属する都道府県は火災出火件数が大幅に多く、特に上位10位以内の都道府県は明確に区別される水準にあります。
まとめ
2022年度の都道府県別火災出火件数ランキングでは、東京都が圧倒的な件数で1位となり、首都圏や大都市圏を抱える都道府県が上位を占める結果となりました。これは人口密度、建物密度、都市機能の集積度が火災出火件数に大きく影響することを明確に示しています。
一方で、富山県、福井県、鳥取県などの人口規模の小さな県では火災出火件数も少なく、地域特性が反映された結果となっています。約25.8倍という最大値と最小値の差は、日本国内における都市部と地方部の規模格差を如実に表しており、防災対策においても地域の特性に応じたアプローチが重要であることが示唆されます。
火災防止対策は人命と財産を守る重要な取り組みであり、各地域の実情に応じた継続的な防災教育と予防対策の充実が求められています。