都道府県別消防団員数ランキング(2023年度)

はじめに

消防団は、地域の防災・消防活動において重要な役割を果たす住民組織です。全国各地で災害時の初期対応や平時の防災啓発活動を担っており、地域防災力の要となっています。本記事では、2023年度における全国47都道府県の消防団員数を詳細に分析し、地域ごとの特徴や傾向を探ります。

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上位県と下位県の比較

上位5県の詳細分析

1位:兵庫県

兵庫県38,777人(偏差値79.3)で全国1位となっています。人口規模が大きく、阪神・淡路大震災の経験から防災意識が高いことが要因として考えられます。県内の市町村が積極的な消防団活動を推進していることも大きく寄与しています。

2位:新潟県

新潟県31,286人(偏差値69.5)で2位にランクインしています。豪雪地帯という地理的特性により、災害対応の必要性が高く、地域住民の防災への参加意識が強いことが反映されています。

3位:長野県

長野県29,550人(偏差値67.3)で3位となっています。山間部が多い地理的特徴から、各地域で独立した防災体制の構築が必要であり、消防団の重要性が高く認識されています。

4位:福島県

福島県29,286人(偏差値66.9)で4位です。東日本大震災や原発事故の経験から、地域防災への意識が一層高まり、消防団活動への参加が促進されています。

5位:熊本県

熊本県28,773人(偏差値66.3)で5位となっています。熊本地震の経験により地域防災力の重要性が再認識され、消防団への参加が活発化しています。

下位5県の詳細分析

47位:沖縄県

沖縄県1,663人(偏差値31.1)で全国最下位となっています。台風は多いものの、本土とは異なる気候風土や地域文化の影響で、消防団制度の浸透度が他県と比較して低い状況にあります。

46位:鳥取県

鳥取県4,383人(偏差値34.6)で下位2位です。人口が最も少ない県であることが主要因で、絶対数では少ないものの人口比では必ずしも低くないと考えられます。

45位:石川県

石川県5,128人(偏差値35.6)で45位となっています。比較的災害が少ない地域特性や、都市部の消防署による対応体制が充実していることが影響している可能性があります。

44位:福井県

福井県5,849人(偏差値36.5)で44位です。人口規模の小ささに加え、原子力発電所を有する地域特性から、専門的な防災体制に依存する傾向があることが要因として考えられます。

43位:香川県

香川県7,266人(偏差値38.4)で43位となっています。四国で最も面積が小さく、都市化が進んでいることから、相対的に消防団員数が少なくなっています。

地域別の特徴分析

東北地方

東北地方は全般的に消防団員数が多い傾向にあります。福島県(4位)、山形県(12位)、岩手県(17位)、宮城県(20位)、青森県(23位)が上位・中位に位置し、秋田県(25位)のみ下位となっています。東日本大震災の経験が地域防災意識の向上に大きく影響していることが読み取れます。

関東地方

関東地方は人口規模に比して中位に位置する県が多くなっています。千葉県(9位)、東京都(10位)、茨城県(14位)、神奈川県(18位)が上位・中位に、埼玉県(30位)、栃木県(28位)、群馬県(35位)が中位・下位に分布しています。

中部地方

中部地方は地域により大きな差が見られます。新潟県(2位)、長野県(3位)が上位にある一方、石川県(45位)、福井県(44位)が下位に位置するなど、地理的条件や災害経験の違いが影響しています。

近畿地方

近畿地方は兵庫県(1位)が突出している一方、他県は中位から下位に分布しています。京都府(24位)、三重県(32位)、和歌山県(34位)、大阪府(38位)、滋賀県(40位)、奈良県(41位)となっており、都市化の進展が影響していると考えられます。

四国地方

四国地方は全般的に下位に位置しています。愛媛県(16位)が最も高く、徳島県(37位)、高知県(42位)、香川県(43位)と続いています。人口規模や地理的条件が影響していると考えられます。

九州・沖縄地方

九州地方は熊本県(5位)、福岡県(7位)が上位にランクインしている一方、沖縄県(47位)が最下位となっています。自然災害の多さと地域文化の違いが影響していると考えられます。

格差と課題の考察

全国の消防団員数には大きな格差が存在しています。最多の兵庫県38,777人)と最少の沖縄県1,663人)では約23倍の差があります。この格差は人口規模、地理的条件、災害経験、地域文化など多様な要因によるものです。

特に都市部では消防署の充実により消防団の必要性が相対的に低下している一方、中山間部や災害リスクの高い地域では消防団の重要性が高まっています。今後は地域特性に応じた消防団制度の在り方や、団員確保のための施策が重要な課題となります。

統計データの基本情報と分析

2023年度の全国消防団員数の統計的特徴を分析すると、平均値は16,442人、中央値は16,148人となっており、分布はほぼ正規分布に近い形状を示しています。標準偏差は7,713人と比較的大きく、都道府県間のばらつきが顕著であることを示しています。

分布の特徴として、上位5県(兵庫県、新潟県、長野県、福島県、熊本県)が全体の傾向を大きく上回っており、特に兵庫県は極めて高い値を示しています。一方、下位10県は10,000人を下回っており、二極化の傾向が見られます。

四分位範囲(Q1:10,151人、Q3:21,343人)を見ると、全体の50%の県が約10,000人から21,000人の範囲に分布しており、この範囲を大きく外れる県は特殊な要因を持つと考えられます。

外れ値として、上位では兵庫県が突出しており、下位では沖縄県、鳥取県、石川県が特に少ない値を示しています。これらの県は、それぞれ固有の地理的・社会的条件を反映した結果と分析されます。

まとめ

2023年度の都道府県別消防団員数ランキングから、地域防災における消防団の役割と地域特性が明確に現れています。上位県では自然災害の経験や地理的条件が消防団活動の活発化に繋がっている一方、下位県では都市化の進展や人口規模が影響しています。

全国平均の16,442人を基準として、各都道府県が地域の実情に応じた防災体制の充実を図ることが重要です。消防団は地域防災力の核となる組織であり、今後も持続可能な運営体制の構築が求められています。特に人口減少が進む地域では、効率的な消防団運営や広域連携の検討が必要となるでしょう。

出典