都道府県別外国人人口ランキング(2020年度)

概要

2020年度の都道府県別外国人人口は、首都圏や大都市圏に集中する明確な傾向を示している。東京都が48万人を超えて圧倒的な首位に立つ一方、最下位の秋田県は3,651人と13倍以上の格差が存在し、都市部と地方部の国際化の進展に大きな差が生じている。

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上位5県の詳細分析

東京都483,372人(偏差値101.1)で圧倒的な首位に立っている。国際的なビジネス拠点としての地位、多様な就労機会、教育機関の充実、生活利便性の高さなどが外国人の集住を促進している。特に金融、IT、教育分野での外国人労働者のニーズが高く、多国籍企業の本社機能集積も影響している。

愛知県231,369人(偏差値71.3)で2位となり、製造業を中心とした産業構造が外国人労働者の需要を創出している。自動車産業をはじめとした製造業の集積地として、技能実習生や技術者など多様な在留資格の外国人が就労している。特にブラジル系住民の定住化も進んでいる。

大阪府208,681人(偏差値68.6)で3位に位置し、関西経済圏の中心地として多様な外国人コミュニティが形成されている。商業・サービス業の発達、歴史的な国際交流の蓄積、関西国際空港の存在などが外国人の定住を支えている。

神奈川県195,535人(偏差値67.1)で4位となり、東京都に隣接する立地優位性と製造業の集積が外国人人口の多さにつながっている。横浜港の存在、国際企業の研究開発拠点の立地、東京都心部へのアクセスの良さなどが魅力となっている。

埼玉県161,439人(偏差値63.0)で5位に入り、首都圏のベッドタウンとしての機能と製造業の立地が外国人人口を支えている。東京都と比較して住居費が安く、生活環境が良好であることから、東京都内で働く外国人の居住地としても選ばれている。

下位5県の詳細分析

青森県5,409人(偏差値44.6)で43位となり、人口減少と産業構造の制約が外国人人口の少なさに影響している。農業分野での技能実習生の受け入れは行われているものの、就労機会の限定性や冬季の厳しい気候条件などが定住の阻害要因となっている。

徳島県5,033人(偏差値44.5)で44位に位置し、四国地方特有の地理的制約と産業規模の限定性が影響している。製造業の一部で外国人労働者の受け入れがあるものの、全体的な雇用機会の少なさと交通アクセスの制約が外国人人口の伸び悩みにつながっている。

鳥取県4,310人(偏差値44.5)で45位となり、全国最少の総人口という基本条件が外国人人口にも影響している。農業分野での技能実習生受け入れや地域活性化の取り組みは行われているが、雇用機会の絶対数の少なさが制約となっている。

高知県4,220人(偏差値44.5)で46位に位置し、四国地方の中でも特に外国人人口が少ない状況にある。農業・漁業分野での受け入れはあるものの、産業の多様性に乏しく、若年層の県外流出と同様に外国人の定住も進んでいない。

秋田県3,651人(偏差値44.4)で最下位となり、全国で最も外国人人口が少ない県となっている。急速な人口減少と高齢化、産業基盤の縮小などが複合的に作用し、外国人にとっての魅力度や定住可能性が限定的となっている。

地域別の特徴分析

関東地方は外国人人口の絶対的な集積地域となっており、1都6県で全国の外国人人口の約4割を占めている。東京都を中心とした経済圏の拡大により、周辺県でも外国人人口が増加している傾向が見られる。

中部地方では愛知県の突出した存在感が際立っており、製造業を基盤とした外国人労働者の集積が特徴的である。静岡県、岐阜県なども製造業関連で一定の外国人人口を有している。

近畿地方は大阪府を中心として、兵庫県、京都府なども相当数の外国人人口を抱えており、関西経済圏としての一体性が見られる。

北海道・東北地方は全般的に外国人人口が少なく、特に東北6県は全て下位グループに位置している。農業分野での技能実習生受け入れが主体となっているが、定住につながるケースは限定的である。

中国・四国地方では広島県を除いて外国人人口が少なく、特に四国4県は全て下位に位置している。地理的な制約と産業構造の限定性が共通の要因となっている。

九州・沖縄地方では福岡県が地域の中心的存在となっているが、他県は相対的に外国人人口が少ない状況にある。

格差や課題の考察

最上位の東京都(483,372人)と最下位の秋田県(3,651人)の間には約132倍の格差が存在し、これは総人口格差(約24倍)を大きく上回っている。この格差は外国人が就労機会や生活環境を重視した居住地選択を行っていることを示している。

地域間格差の構造的要因として、産業構造の違い、国際交通アクセスの格差、生活インフラの充実度、既存の外国人コミュニティの存在などが挙げられる。特に製造業、サービス業の集積度と外国人人口には強い相関関係が見られる。

この格差は地方創生や労働力不足対策の観点から重要な課題となっており、地方部での外国人受け入れ環境の整備、多文化共生の推進、産業振興との連携などが求められている。

統計データの基本情報と分析

統計分析では、平均値が中央値を大きく上回る正の歪みを持つ分布となっており、少数の都市部に外国人人口が集中していることが確認できる。東京都の数値は明らかな外れ値として識別され、全体の分布に大きな影響を与えている。

標準偏差の大きさは都道府県間の格差の激しさを示しており、四分位範囲による分析では、上位25%の都道府県と下位25%の都道府県の間に大きな断層があることが判明している。この分布特性は、外国人人口が都市部の特定地域に高度に集中する現代日本の特徴を統計的に裏付けている。

まとめ

  • 東京都が48万人超で圧倒的首位、愛知・大阪・神奈川・埼玉が続く上位集中型の分布
  • 最大格差は132倍に達し、総人口格差を大きく上回る地域間格差が存在
  • 関東地方への集中が顕著で、全国の約4割の外国人が1都6県に居住
  • 製造業集積地域と国際的都市機能を持つ地域で外国人人口が多い傾向
  • 東北・四国地方は全般的に外国人人口が少なく、地域振興の課題
  • 産業構造、交通アクセス、生活環境が外国人の居住地選択に大きく影響

今後は地方部での外国人受け入れ環境整備と多文化共生社会の構築が重要な政策課題となり、継続的なモニタリングによる地域間格差の動向把握が必要である。

出典