都道府県別健康寿命(女性)ランキング(2019年度)
概要
2019年度の都道府県別健康寿命(女性)データでは、三重県が77.58年で全国1位となり、最下位の京都府(73.68年)との間に3.9年の格差が生じています。九州地方が上位に複数県ランクインする一方で、近畿地方や首都圏の一部で健康寿命が相対的に短い傾向が見られます。
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上位5県の詳細分析
1位:三重県(77.58年、偏差値77.2)
三重県は77.58年(偏差値77.2)で圧倒的な1位を獲得しています。同県は温暖な気候と豊かな自然環境に恵まれ、農業や漁業が盛んで食文化が豊かです。また、県を挙げた健康づくり施策「みえの健康づくり総合計画」の推進により、生活習慣病予防や健康意識の向上に取り組んできた成果が表れています。
2位:山梨県(76.74年、偏差値65.8)
山梨県は76.74年(偏差値65.8)で2位にランクインしています。山間部の清浄な空気と水、ぶどうやももなどの果物に恵まれた食環境が健康寿命の延伸に寄与していると考えられます。また、人口規模が比較的小さく地域コミュニティが密接で、高齢者の社会参加が活発な点も要因の一つです。
3位:宮崎県(76.71年、偏差値65.4)
宮崎県は76.71年(偏差値65.4)で3位となっています。温暖な気候と日照時間の長さが特徴で、野菜や果物の生産が盛んです。県民の健康意識向上を目的とした「みやざき健康づくり推進プラン」により、運動習慣の定着や食生活の改善に取り組んでいる効果が現れています。
4位:大分県(76.6年、偏差値63.9)
大分県は76.6年(偏差値63.9)で4位に位置しています。温泉地として有名で、温泉療法や自然環境を活かした健康づくりが根付いています。また、「健康寿命日本一おおいた県民会議」を設立し、官民一体となった健康づくり活動を展開している点が特徴的です。
5位:静岡県(76.58年、偏差値63.6)
静岡県は76.58年(偏差値63.6)で5位となっています。温暖な気候と富士山麓の良好な自然環境、緑茶の産地として健康的な食習慣が定着している点が健康寿命の長さに寄与しています。県を挙げた「ふじのくに健康増進計画」により、生活習慣病対策や健康づくり環境の整備を進めています。
下位5県の詳細分析
43位:広島県(74.59年、偏差値36.4)
広島県は74.59年(偏差値36.4)で43位となっています。都市部への人口集中と地方部の過疎化が進んでおり、医療アクセスや生活環境の地域格差が健康寿命に影響している可能性があります。工業地帯を抱える地域特有の環境要因も考慮すべき点です。
44位:愛媛県(74.58年、偏差値36.3)
愛媛県は74.58年(偏差値36.3)で44位に位置しています。四国地方の中でも相対的に健康寿命が短く、高齢化の進行と医療資源の偏在が課題となっています。県では「えひめ健康づくり21」を推進していますが、さらなる取り組みの強化が求められています。
45位:東京都(74.55年、偏差値35.9)
東京都は74.55年(偏差値35.9)で45位となっており、意外にも下位に位置しています。人口密度の高さやストレス要因の多い都市環境、長時間労働などの社会的要因が健康寿命に影響している可能性があります。医療資源は豊富ですが、予防医療や健康づくりの面で課題があることが示唆されます。
46位:滋賀県(74.44年、偏差値34.4)
滋賀県は74.44年(偏差値34.4)で46位となっています。近畿地方の中でも特に健康寿命が短く、生活習慣病の有病率や運動習慣の定着率などに課題があると考えられます。琵琶湖を中心とした豊かな自然環境がある一方で、健康づくり施策の効果的な展開が求められています。
47位:京都府(73.68年、偏差値24.0)
京都府は73.68年(偏差値24.0)で最下位となっています。古都として観光業が盛んですが、高齢化の進行と都市部と山間部の医療格差が健康寿命に影響している可能性があります。偏差値24.0は特に低い値であり、県全体での健康づくり施策の抜本的な見直しが必要な状況です。
地域別の特徴分析
九州・沖縄地方
九州地方は宮崎県(3位)、大分県(4位)が上位にランクインし、温暖な気候と豊かな自然環境、地域コミュニティの結束力が健康寿命の延伸に寄与しています。温泉文化や食文化の豊かさも特徴的です。
中部地方
山梨県(2位)、静岡県(5位)が上位に位置し、自然環境の良さと健康的な食習慣が共通点として挙げられます。山間部や沿岸部の清浄な環境が健康づくりに適していると考えられます。
近畿地方
滋賀県(46位)、京都府(47位)が下位に集中しており、地域的な課題が浮き彫りになっています。都市化の進行と伝統的な生活様式の変化が健康状態に影響している可能性があります。
関東地方
東京都(45位)が下位に位置し、大都市圏特有の課題が健康寿命に影響していることが示唆されます。人口密度や労働環境、生活リズムなどの都市型ストレス要因が考えられます。
中国・四国地方
広島県(43位)、愛媛県(44位)が下位にランクインし、地方部の医療アクセスや人口減少に伴う課題が健康寿命に影響している可能性があります。
格差や課題の考察
最上位の三重県(77.58年)と最下位の京都府(73.68年)の格差は3.9年に達しており、これは決して小さくない差です。この格差は、地域の自然環境、医療体制、社会保障制度、生活習慣、コミュニティの結束力など、複合的な要因によって生じていると考えられます。
特に下位県では、都市化に伴う生活習慣の変化、地方部の医療アクセス問題、高齢化の進行などが健康寿命短縮の要因となっている可能性があります。一方、上位県では自然環境の良さ、地域コミュニティの活性化、県を挙げた健康づくり施策の効果などが健康寿命延伸に寄与しています。
今後は、下位県における予防医療の充実、生活習慣病対策の強化、健康づくり環境の整備などが急務となっています。また、上位県の成功事例を他県でも展開できるような政策的枠組みの構築が重要です。
統計データの基本情報と分析
統計分析の結果、全国平均は約75.4年となっており、中央値も同程度の値を示していることから、データの分布は比較的正規分布に近い形状を示しています。ただし、三重県の77.58年は明らかな外れ値として突出しており、偏差値77.2という極めて高い数値がこれを裏付けています。
四分位範囲を見ると、上位25%の県は76.2年以上、下位25%の県は74.8年以下となっており、中間層の県々は比較的狭い範囲に集中しています。この分布特性は、多くの県で健康寿命がほぼ全国平均水準にある一方で、特に優秀な県と課題を抱える県が明確に分かれていることを示しています。
標準偏差は約0.9年となっており、平均値に対する相対的なばらつきは中程度です。しかし、健康寿命という指標の性質を考慮すると、この0.9年の差は個人の生活の質や社会保障制度への影響という観点から決して小さくない格差といえます。
まとめ
- 三重県が77.58年で圧倒的な1位を獲得し、健康づくり施策の成果が顕著に表れている
- 九州地方(宮崎県、大分県)と中部地方(山梨県、静岡県)が上位を占め、自然環境と地域特性が健康寿命延伸に寄与
- 京都府、滋賀県、東京都が下位に位置し、都市化や人口集中に伴う課題が浮き彫り
- 最大格差は3.9年に達し、地域間の健康づくり環境の差が顕著
- 近畿地方と中国・四国地方の一部で健康寿命が相対的に短い傾向が見られる
今後は下位県における予防医療体制の強化と、上位県の成功事例の横展開が重要な課題となります。また、都市部特有の健康課題への対策と、地方部の医療アクセス改善に向けた継続的な取り組みが必要です。