都道府県別無業者数ランキング(2022年度)

概要

無業者数とは、15歳以上の人口のうち、ふだん収入を得ることを目的として仕事をしていない人の数を指します。この記事では、2022年度の都道府県別無業者数のランキングを紹介します。

無業者数は、地域の人口構成や産業構造、雇用環境などを反映しており、地域経済政策や雇用政策の基礎データとして重要な指標です。2022年度は、東京都や大阪府などの大都市圏で無業者数が多く、鳥取県や島根県などの人口規模の小さい地方県で無業者数が少なくなっています。

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上位県と下位県の比較

無業者数が多い上位5県

2022年度の無業者数ランキングでは、東京都416万人(偏差値86.5)で全国1位となりました。東京都は日本の政治・経済・文化の中心地であり、人口規模が大きいことが無業者数の多さに直接影響していると考えられます。また、高齢者や学生など、就業していない人口も多いことが特徴です。

2位は大阪府312万人(偏差値74.7)、3位は神奈川県305万人(偏差値74.0)、4位は埼玉県251万人(偏差値67.9)、5位は愛知県243万人(偏差値67.0)となっています。上位県には大都市を有する都府県が多く、人口規模が大きいことが無業者数の多さに直接影響していると考えられます。

無業者数が少ない下位5県

最も無業者数が少なかったのは鳥取県19万人(偏差値41.8)でした。鳥取県は日本で最も人口が少ない県であり、人口規模の小ささが無業者数の少なさに直接影響していると考えられます。

46位は島根県24万人(偏差値42.3)、45位は福井県24万人(偏差値42.4)、44位は高知県26万人(偏差値42.6)、43位は山梨県27万人(偏差値42.7)となっています。下位県には人口規模の小さい地方県が多く、人口規模の小ささが無業者数の少なさに直接影響していると考えられます。

地域別の特徴分析

東北地方の無業者の状況

東北地方では、宮城県(14位、82万人)が最も無業者数が多く、秋田県(37位、37万人)と山形県(36位、37万人)が最も少なくなっています。その他の県は、青森県(30位、47万人)、岩手県(32位、43万人)、福島県(21位、65万人)と、全国的に見ると中位から下位に位置しています。

東北地方全体として無業者数が比較的少ない理由としては、人口規模が全国的に見て小さいことが挙げられます。特に秋田県や山形県は人口減少が進んでおり、無業者数も少なくなっていると考えられます。

特に宮城県で東北地方の中では無業者数が多い理由としては、仙台市という東北地方最大の都市を有しており、高齢者や学生など、就業していない人口が多いことが挙げられます。また、東日本大震災の影響により、就業が困難な状況にある人が一定数存在する可能性もあります。

一方、山形県や秋田県で無業者数が少ない理由としては、人口規模が小さいことに加え、高齢者の就業率が比較的高いことが挙げられます。特に農業などの第一次産業に従事する高齢者が多く、無業者数が抑えられている可能性があります。

関東地方の都市化と無業者の動向

関東地方では、東京都(1位、416万人)が最も無業者数が多く、栃木県と群馬県(同18・19位、66万人)が最も少なくなっています。その他の県は、茨城県(11位、99万人)、埼玉県(4位、251万人)、千葉県(6位、217万人)、神奈川県(3位、305万人)と、全国的に見ると上位から中位に位置しています。

関東地方全体として無業者数が多い理由としては、人口規模が大きいことに加え、高齢者や学生など、就業していない人口が多いことが挙げられます。特に、東京都や神奈川県などの大都市圏では、高等教育機関が集中しており、学生人口が多いことが特徴です。

特に東京都で無業者数が突出して多い理由としては、日本最大の人口を有することに加え、大学などの高等教育機関が集中しており、学生人口が多いことが挙げられます。また、高齢者人口も多く、これらが無業者数の多さに影響していると考えられます。

一方、栃木県や群馬県で関東地方の中では無業者数が少ない理由としては、人口規模が比較的小さいことに加え、製造業を中心とする産業構造により、就業率が比較的高いことが挙げられます。また、高齢者の就業率も比較的高く、これが無業者数の少なさに影響していると考えられます。

中部・北陸地方の産業構造と無業者の特徴

中部・北陸地方では、愛知県(5位、243万人)が最も無業者数が多く、福井県(45位、24万人)が最も少なくなっています。その他の県は、新潟県(15位、79万人)、富山県(38位、36万人)、石川県(34位、38万人)、山梨県(43位、27万人)、長野県(16位、68万人)、岐阜県(20位、65万人)、静岡県(10位、120万人)と、全国的に見ると中位から下位に位置しています。

中部・北陸地方全体として無業者数にばらつきがある理由としては、人口規模の差に加え、産業構造の違いが挙げられます。特に、製造業が盛んな地域では就業率が高く、無業者数が比較的少ない傾向があります。

特に愛知県で無業者数が多い理由としては、名古屋市を中心とする大都市圏を有しており、人口規模が大きいことが挙げられます。また、自動車産業を中心とする製造業が盛んである一方で、高齢者や学生など、就業していない人口も多いことが特徴です。

一方、福井県で無業者数が少ない理由としては、人口規模が小さいことに加え、繊維産業や眼鏡産業などの地場産業が発達しており、就業率が高いことが挙げられます。特に女性の就業率が高いことが特徴で、これが無業者数の少なさに影響していると考えられます。

近畿地方の経済状況と無業者の分布

近畿地方では、大阪府(2位、312万人)が最も無業者数が多く、滋賀県(31位、45万人)が最も少なくなっています。その他の県は、京都府(13位、90万人)、兵庫県(7位、200万人)、奈良県(25位、52万人)、和歌山県(40位、34万人)と、全国的に見るとばらつきがあります。

近畿地方全体として無業者数にばらつきがある理由としては、大阪府や兵庫県などの大都市圏と、滋賀県や和歌山県などの地方県との人口規模の差が挙げられます。また、産業構造の違いも影響していると考えられます。

特に大阪府で無業者数が多い理由としては、大阪市を中心とする大都市圏を有しており、人口規模が大きいことが挙げられます。また、高齢者や学生など、就業していない人口も多いことが特徴です。さらに、産業構造の変化により、就業機会が減少している可能性もあります。

一方、滋賀県で無業者数が少ない理由としては、人口規模が比較的小さいことに加え、製造業を中心とする産業構造により、就業率が高いことが挙げられます。また、大阪府や京都府などへの通勤者が多く、これが無業者数の少なさに影響していると考えられます。

中国・四国地方の人口動態と無業者の傾向

中国・四国地方では、広島県(12位、96万人)が最も無業者数が多く、鳥取県(47位、19万人)が最も少なくなっています。その他の県は、島根県(46位、24万人)、岡山県(17位、67万人)、山口県(26位、50万人)、徳島県(42位、27万人)、香川県(39位、34万人)、愛媛県(27位、50万人)、高知県(44位、26万人)と、全国的に見ると中位から下位に位置しています。

中国・四国地方全体として無業者数が比較的少ない理由としては、人口規模が全国的に見て小さいことが挙げられます。特に鳥取県や島根県は人口が少なく、無業者数も少なくなっていると考えられます。

特に広島県で中国・四国地方の中では無業者数が多い理由としては、広島市という中国地方最大の都市を有しており、人口規模が大きいことが挙げられます。また、高齢者や学生など、就業していない人口も多いことが特徴です。

一方、鳥取県で無業者数が少ない理由としては、日本で最も人口が少ない県であり、人口規模の小ささが無業者数の少なさに直接影響していると考えられます。また、農業などの第一次産業に従事する高齢者が多く、無業者数が抑えられている可能性もあります。

九州・沖縄地方の雇用環境と無業者の実態

九州・沖縄地方では、福岡県(9位、180万人)が最も無業者数が多く、佐賀県(41位、28万人)が最も少なくなっています。その他の県は、長崎県(29位、48万人)、熊本県(22位、61万人)、大分県(33位、42万人)、宮崎県(35位、38万人)、鹿児島県(24位、56万人)、沖縄県(28位、48万人)と、全国的に見ると中位から下位に位置しています。

九州・沖縄地方全体として無業者数にばらつきがある理由としては、福岡県と他の県との人口規模の差が挙げられます。また、産業構造の違いも影響していると考えられます。

特に福岡県で無業者数が多い理由としては、福岡市や北九州市という大都市を有しており、人口規模が大きいことが挙げられます。また、高齢者や学生など、就業していない人口も多いことが特徴です。特に、九州地方の教育・文化の中心地として、多くの大学が集中しており、学生人口が多いことが無業者数の多さに影響していると考えられます。

一方、佐賀県で無業者数が少ない理由としては、人口規模が小さいことに加え、農業などの第一次産業に従事する人が多く、就業率が比較的高いことが挙げられます。また、福岡県への通勤者が多く、これが無業者数の少なさに影響していると考えられます。

格差や課題の考察

地域経済への影響

無業者数の地域間格差は、地域経済にも影響を与えます。無業者数が多い地域では、消費活動が低迷する可能性があり、地域経済の活性化が課題となります。また、税収も減少するため、公共サービスの維持が困難になる可能性があります。一方、無業者数が少ない地域では、労働力不足が課題となる可能性があります。

例えば、東京都(1位、416万人)では、無業者数が多いものの、有業者数も多いため、地域経済への影響は限定的である可能性があります。ただし、高齢者の無業者が増加すると、社会保障費の増加や消費活動の低迷などの課題が生じる可能性があります。

一方、鳥取県(47位、19万人)では、無業者数は少ないものの、人口減少や高齢化により、労働力不足が深刻化する可能性があります。特に、若年層の県外流出により、地域経済の担い手が減少し、地域の持続可能性が課題となる可能性があります。

社会保障制度への影響

無業者数の地域間格差は、社会保障制度にも影響を与えます。無業者数が多い地域では、社会保障費が増加する傾向があり、財政的な負担が大きくなる可能性があります。特に、高齢者の無業者が多い地域では、医療費や介護費などの社会保障費が増加する傾向があります。

例えば、大阪府(2位、312万人)では、無業者数が多く、特に高齢者の無業者が多いため、社会保障費の増加が課題となる可能性があります。また、生活保護受給者も多く、財政的な負担が大きくなる可能性があります。

一方、福井県(45位、24万人)では、無業者数が少なく、特に高齢者の就業率が高いため、社会保障費の増加が抑制される可能性があります。また、三世代同居率が高く、家族内での支え合いが機能しているため、公的な社会保障への依存度が低い可能性があります。

若年層の就業環境への影響

無業者数の地域間格差は、特に若年層の就業環境にも影響を与えます。無業者数が多い地域では、若年層の就業機会が限られる可能性があり、これが若年層の地域外への流出を促進する要因となっています。一方、無業者数が少ない地域では、若年層の就業機会が確保されやすく、地域に定着する傾向があります。

例えば、東京都(1位、416万人)では、無業者数が多いものの、就業機会も豊富であるため、若年層が流入する傾向があります。特に、大学卒業後の就職を機に東京都に移住する若者が多いことが特徴です。

一方、秋田県(37位、37万人)では、無業者数は少ないものの、若年層の就業機会が限られているため、若年層が県外に流出する傾向があります。特に、大学進学や就職を機に県外に移住する若者が多いことが特徴です。この結果、人口減少と高齢化が進行し、地域社会の維持が課題となっています。

統計データの基本情報と分析

統計的特徴の分析

2022年度の都道府県別無業者数データを統計的に分析すると、以下のような特徴が見られます:

  1. 平均値と中央値の比較:平均値は約93万人、中央値は約48万人と大きく乖離しており、データの分布が右に歪んでいることを示しています。これは、東京都や大阪府などの一部の都府県で無業者数が特に多いことを反映しています。

  2. 分布の歪み:データは全体として強い正の歪みを示しており、右に長い裾を持つ分布となっています。東京都(416万人)が最も多く、鳥取県(19万人)が最も少ないですが、その差は397万人と非常に大きく、極端な格差が見られます。

  3. 外れ値の特定:東京都(416万人)、大阪府(312万人)、神奈川県(305万人)などは上側の外れ値と考えられ、平均値を大きく上回っています。これらの都府県は人口規模が特に大きく、高齢者や学生など、就業していない人口も多いことが特徴です。

  4. 四分位範囲による分布の特徴:第1四分位数(Q1)は約36万人、第3四分位数(Q3)は約82万人で、四分位範囲(IQR)は約46万人です。これは、中央の50%の都道府県の無業者数が36万人から82万人の間に収まっていることを示しており、多くの県が比較的少ない無業者数であることがわかります。

  5. 標準偏差によるばらつき:標準偏差は約102万人で、変動係数(標準偏差÷平均値)は約110%となり、相対的なばらつきが非常に大きいことを示しています。これは、都道府県間の無業者数の格差が非常に大きいことを意味します。

まとめ

2022年度の都道府県別無業者数ランキングでは、東京都が416万人で1位、鳥取県が19万人で47位となりました。上位には東京都、大阪府、神奈川県などの大都市を有する都府県が多く、下位には鳥取県、島根県、福井県などの人口規模の小さい地方県が多く見られました。

無業者数の地域差は、人口規模、産業構造、雇用環境など様々な要素を反映しており、この差は地域経済、社会保障制度、若年層の就業環境など様々な面に影響を与えています。

統計分析からは、都道府県間の無業者数の格差が非常に大きく、特に東京都や大阪府などの大都市圏と、鳥取県や島根県などの地方県との間で顕著な差があることがわかります。これは主に人口規模の差を反映していますが、産業構造や雇用環境の違いも影響していると考えられます。

少子高齢化が進む日本社会において、無業者の活用は重要な課題となっています。特に、女性や高齢者、障害者など、潜在的な労働力として活用できる人材を労働市場に引き入れることで、労働力不足の解消や経済成長の促進につながる可能性があります。また、無業者の中には、地域活動やボランティア活動の担い手となる人材も含まれており、これらの人材の社会参加を促進することで、地域コミュニティの活性化につながる可能性もあります。

出典