都道府県別行政部門職員数ランキング(2023年度)

概要

2023年度の都道府県別行政部門職員数を比較すると、東京都が全国1位で20,837人、北海道が2位で12,857人、愛知県が3位で9,018人となっています。行政部門職員数は人口規模や行政区域の広さ、行政需要などによって大きく異なり、大都市圏や面積の広い地域で多い傾向があります。

地図データを読み込み中...

全国マップで見る行政部門職員数の分布

全国マップで見ると、東京都、北海道、愛知県、大阪府、神奈川県などの大都市圏や面積の広い地域で行政部門職員数が多く、香川県、鳥取県、山梨県などの人口規模の小さい県では少ない傾向が明確に表れています。これは行政需要の規模や地域特性と密接に関連しています。

上位5県と下位5県の比較

上位5県の特徴

  1. 東京都(20,837人、偏差値102.4): 日本の首都として多様な行政需要があり、国の出先機関も多く立地しています。また、23区という特殊な行政区分を持ち、広域行政と基礎自治体の機能を併せ持つ複雑な行政体制となっています。人口規模に加え、昼間人口の増加による行政需要の増大も職員数に影響しています。
  2. 北海道(12,857人、偏差値75.9): 日本最大の面積を持ち、広大な地域をカバーするために多くの行政職員が必要となっています。また、積雪寒冷地という特性から、除雪などの特有の行政サービスも提供しています。179市町村をカバーする広域行政の役割も大きく、支庁制度を採用して地域ごとの行政サービスを提供しています。
  3. 愛知県(9,018人、偏差値63.2): 製造業を中心とした産業集積があり、関連する行政需要に対応するための職員が配置されています。トヨタ自動車をはじめとする自動車産業の集積地として、産業政策関連の行政需要が多く、名古屋市を中心とした大都市圏の行政ニーズも多様です。
  4. 大阪府(7,814人、偏差値59.2): 関西の中心として人口密度が高く、多様な行政需要があります。都市部の課題に対応するための専門職員も多く配置されています。特に福祉や都市計画、産業振興などの分野で多くの職員が従事しています。
  5. 神奈川県(7,697人、偏差値58.8): 人口が多く、横浜市や川崎市などの大都市を抱えています。また、京浜工業地帯を擁し、産業関連の行政需要も大きくなっています。首都圏のベッドタウンとしての特性から、住民サービスに関わる行政需要も多様です。

下位5県の特徴

  1. 香川県(2,836人、偏差値42.6): 四国で最も面積が小さく、行政需要の絶対量も少なくなっています。コンパクトな県土を活かした効率的な行政運営が行われており、人口規模や面積に応じた職員配置となっています。
  2. 鳥取県(2,914人、偏差値42.9): 人口が最も少ない県であり、行政需要の絶対量も少なくなっています。効率的な行政運営のための取り組みが進められています。人口減少が進む中、限られた人員で行政サービスを維持するための工夫が求められています。
  3. 山梨県(2,965人、偏差値43.0): 内陸県で面積も比較的小さく、行政部門職員数も少なくなっています。富士山や八ヶ岳など自然環境に恵まれた地域特性から、観光や環境関連の行政需要がある一方、人口規模に見合った効率的な行政運営が行われています。
  4. 福井県(3,040人、偏差値43.3): 北陸地方の中でも人口規模が小さく、行政部門職員数も少なくなっています。原子力発電所が立地する特性から、エネルギー政策や防災関連の行政需要がある一方、コンパクトな行政運営が進められています。
  5. 徳島県(3,151人、偏差値43.7): 四国の東部に位置し、人口規模が小さいため行政部門職員数も少なくなっています。効率的な行政運営のための広域連携などが進められています。過疎化が進む山間部と、比較的人口が集中する徳島市周辺との行政需要の差も特徴的です。

地域別の特徴分析

関東地方

東京都(20,837人、偏差値102.4)が全国1位、神奈川県(7,697人、偏差値58.8)が5位、千葉県(7,680人、偏差値58.7)が6位と行政部門職員数が多くなっています。首都圏として人口が集中し、多様な行政需要があります。特に東京都は特別区制度を採用しており、他の道府県とは異なる行政体制となっています。埼玉県(7,200人、偏差値57.1)も人口規模の大きさを反映して8位に位置しています。一方、茨城県(4,845人、偏差値49.3)や栃木県(4,596人、偏差値48.5)、群馬県(3,989人、偏差値46.4)は相対的に職員数が少なく、効率的な行政運営が進められています。

関西地方

大阪府(7,814人、偏差値59.2)が全国4位、兵庫県(5,992人、偏差値53.1)が9位と行政部門職員数が多くなっています。関西圏の中心として多様な行政需要があり、特に都市部では福祉や教育などの分野で多くの職員が配置されています。一方、京都府(4,105人、偏差値46.8)、奈良県(3,245人、偏差値44.0)、和歌山県(3,516人、偏差値44.9)、滋賀県(3,391人、偏差値44.5)では比較的少なくなっています。関西地方内でも大阪府と他府県の間には大きな格差があります。

中部・東海地方

愛知県(9,018人、偏差値63.2)が全国3位と行政部門職員数が多くなっています。製造業を中心とした産業集積があり、関連する行政需要に対応するための職員が配置されています。静岡県(5,689人、偏差値52.1)も比較的職員数が多く、東西に長い地理的特性から地域ごとの行政サービス提供体制が整備されています。新潟県(5,455人、偏差値51.3)も日本海側有数の都市である新潟市を抱え、比較的多くの職員を配置しています。一方、富山県(3,224人、偏差値43.9)や福井県(3,040人、偏差値43.3)などの北陸地方では比較的少なくなっています。

九州・沖縄地方

福岡県(7,652人、偏差値58.6)が全国7位と九州では最も行政部門職員数が多くなっています。九州の経済・文化の中心として多様な行政需要があります。鹿児島県(5,013人、偏差値49.8)も離島を多く抱えることから職員数が多くなっています。一方、佐賀県(3,168人、偏差値43.7)や長崎県(4,053人、偏差値46.7)などでは人口規模が小さく、行政部門職員数も少なくなっています。沖縄県(4,125人、偏差値46.9)は離島県としての特性から、人口規模の割に職員数が多い傾向にあります。

東北・北海道地方

北海道(12,857人、偏差値75.9)が全国2位と行政部門職員数が多くなっています。広大な面積をカバーするために多くの職員が必要となっています。東北地方では福島県(5,612人、偏差値51.8)が比較的職員数が多く、東日本大震災からの復興業務など特有の行政需要に対応しています。宮城県(4,852人、偏差値49.3)も仙台市を中心とした行政需要に対応しています。一方、秋田県(3,454人、偏差値44.7)や山形県(4,028人、偏差値46.6)などでは人口減少と高齢化が進み、限られた職員数で効率的な行政運営が求められています。

行政部門職員数の格差と課題

行政部門職員数の地域間格差は、人口規模や面積、行政需要の違いによって生じています。東京都と香川県では約7.3倍もの差があり、この格差は人口規模の差を反映していますが、完全に比例しているわけではありません。特に北海道は面積の広さが職員数に大きく影響しています。

特に人口減少が進む地方では、行政サービスの維持と効率化の両立が課題となっています。職員数の減少により、一人当たりの業務負担が増加し、専門性の確保も難しくなっています。また、高齢化に伴う福祉需要の増加や、防災・減災対策の強化など、新たな行政需要にも対応する必要があります。

一方、大都市圏では複雑化・多様化する行政課題に対応するための専門人材の確保や、効率的な組織運営が求められています。特に東京都では国際化や都市問題への対応など、他の地域とは異なる行政需要も存在します。

近年では、自治体のデジタル化や広域連携、民間活力の活用など、限られた人的資源を効果的に活用するための取り組みが進められています。また、人口減少社会においては、行政需要そのものの見直しや、サービス提供方法の変革も重要な課題となっています。

統計データの基本情報

この統計データは2023年度の都道府県別行政部門職員数を示しています。行政部門職員数とは、各都道府県の知事部局、議会事務局、行政委員会などに所属する一般職の地方公務員の総数を指します。教育、警察、公営企業などの職員は含まれていません。

データの分析から、以下のような特徴が見られます:

  1. 分布の歪み: 行政部門職員数の分布は正の歪みを示しており、平均値(約5,000人)が中央値(約3,900人)を上回っています。これは東京都や北海道などの突出した地域が平均値を押し上げているためです。
  2. 明確な外れ値の存在: 東京都(20,837人)と北海道(12,857人)は明らかな外れ値であり、第3位の愛知県(9,018人)との間にも差があります。特に東京都は平均値の約4倍という突出した値を示しています。
  3. 四分位範囲: 上位25%の都道府県(第3四分位)は約5,600人以上、下位25%(第1四分位)は約3,200人以下となっており、中間50%の範囲も比較的広く、地域間格差の大きさを示しています。
  4. 標準偏差の大きさ: 標準偏差は約3,211人と大きく、平均値の約64%に相当します。これは都道府県間のばらつきが大きいことを示しています。
  5. 人口との相関: 行政部門職員数は人口規模と高い相関関係にありますが、北海道のように面積が広い地域では人口当たりの職員数が多くなる傾向があります。

まとめ

行政部門職員数は地域の人口規模や面積、行政需要などを反映する重要な指標です。東京都や北海道などの大都市圏や面積の広い地域で多くの職員が配置される一方、香川県や鳥取県などの人口規模の小さい県では職員数も少ない状況にあります。

この地域間格差は、行政需要の違いや地理的条件、歴史的経緯など様々な要因によって形成されてきました。特に近年ではデジタル化の進展や人口減少により、行政サービスの提供方法も変化しています。

今後は、人口減少・高齢化社会の中で行政サービスの持続可能性確保がさらに重要な課題となります。デジタル技術の活用による業務効率化や、広域連携による専門性の確保、民間活力の活用など、様々な手法を組み合わせた行政運営が求められています。

また、単純な職員数の多寡だけでなく、行政サービスの質や効率性、専門性なども重要な要素です。地域の特性に応じた最適な行政体制の構築と、限られた人的資源の効果的な配分が今後の行政運営の鍵となるでしょう。

行政部門職員は地域社会を支える重要な存在であり、人口減少・高齢化社会においても質の高い行政サービスを持続的に提供するための体制整備が重要な課題となっています。

出典