はじめに
交通事故死傷者数は、各都道府県の交通安全対策の効果や道路環境の整備状況を反映する重要な指標です。2023年度のデータを基に、47都道府県の交通事故死傷者数をランキング形式で分析し、地域ごとの特徴や傾向を探ります。
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上位県と下位県の比較
上位5県の特徴
交通事故死傷者数が多い上位5県は、いずれも人口規模が大きい都府県となっています。
東京都が35,006人(偏差値80.2)で全国1位となっており、全国平均を大きく上回る数値を示しています。首都圏の交通量の多さと人口密度の高さが影響していると考えられます。
大阪府が30,245人(偏差値74.9)で2位、愛知県が29,135人(偏差値73.7)で3位と続いており、三大都市圏が上位を占めています。
福岡県は25,802人(偏差値70.0)で4位、神奈川県が25,759人(偏差値69.9)で5位となっており、いずれも人口100万人を超える大都市圏です。
下位5県の特徴
交通事故死傷者数が少ない下位5県は、いずれも人口規模が小さい県となっています。
最も少ないのは鳥取県の776人(偏差値42.1)で、全国で唯一1,000人を下回っています。
島根県が869人(偏差値42.2)で46位、高知県が1,072人(偏差値42.5)で45位と続き、中国・四国地方の人口の少ない県が下位を占めています。
福井県は1,153人(偏差値42.6)で44位、秋田県が1,371人(偏差値42.8)で43位となっており、北陸・東北地方の人口減少が進む県も下位にランクインしています。
地域別の特徴分析
首都圏
首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)はすべて上位にランクインしており、特に東京都は突出して高い数値を示しています。人口密度と交通量の多さが主な要因と考えられます。
関西圏
大阪府が2位、兵庫県が8位と関西圏も上位に位置しています。京都府は17位と比較的中位にとどまっています。
中部圏
愛知県が3位、静岡県が6位と製造業が盛んな地域で交通事故死傷者数が多くなっています。工業地帯における物流量の多さが影響している可能性があります。
地方圏
人口規模の小さい地方県では総じて交通事故死傷者数が少なくなっていますが、人口に対する比率で見ると異なる傾向が見られる場合があります。
格差と課題の考察
最大の東京都(35,006人)と最小の鳥取県(776人)では約45倍の格差があり、これは主に人口規模の違いを反映しています。しかし、偏差値で見ると東京都の80.2から鳥取県の42.1まで約38ポイントの差があり、人口規模を考慮しても地域間の格差が存在することが分かります。
大都市圏では交通量の集中や交通インフラの過密化が事故リスクを高める要因となっている一方、地方圏では高齢化による運転技能の低下や公共交通機関の不足による自動車依存度の高さが課題となっています。
統計データの基本情報と分析
2023年度の交通事故死傷者数データの統計的特徴を分析すると、平均値は約7,639人、中央値は約3,611人となっており、平均値が中央値を大きく上回っています。これは東京都、大阪府、愛知県などの大都市圏が数値を押し上げているためで、分布が右に歪んでいることを示しています。
標準偏差は約7,852人と平均値に近い値を示しており、都道府県間のばらつきが非常に大きいことが分かります。四分位範囲(Q3-Q1)は約4,000人程度で、中央の50%の都道府県の数値の幅を示しています。
外れ値として東京都が特に突出しており(偏差値80.2)、これが全体の分布に大きな影響を与えています。一方、下位の鳥取県、島根県、高知県などは偏差値42点台と平均を大きく下回っています。
まとめ
2023年度の都道府県別交通事故死傷者数ランキングでは、人口規模と強い相関関係が見られ、三大都市圏を中心とした大都市圏が上位を占める結果となりました。東京都が圧倒的な1位となっている一方、地方の人口の少ない県では相対的に少ない数値となっています。
ただし、単純な総数の比較だけでなく、人口当たりの事故率や道路延長当たりの事故率など、より詳細な分析も交通安全対策を考える上では重要です。各都道府県の地域特性を踏まえた効果的な交通安全対策の実施が求められています。