都道府県別交通事故発生件数ランキング(2023年度)
概要
2023年度の都道府県別交通事故発生件数を比較すると、東京都が全国1位で約3.1万件、大阪府が2位で約2.6万件、愛知県が3位で約2.5万件となっています。交通事故発生件数は人口や交通量の多い都市部で多く、地方では比較的少ない傾向にあります。
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上位5県と下位5県の比較
上位5県の特徴
- 東京都(31,385件、偏差値80.0): 日本最大の都市圏であり、交通量が非常に多く、事故発生件数も全国で最も多くなっています。特に都心部や環状道路では交通集中による事故リスクが高く、通勤・通学時間帯の事故が多発しています。また、自転車と歩行者の事故も都市特有の課題となっています。
- 大阪府(25,951件、偏差値75.0): 関西の中心都市として交通量が多く、人口密度の高さも事故発生の要因となっています。特に大阪市内の交差点での事故や、阪神高速道路における追突事故などが特徴的です。自転車関連の事故も多く、対策が進められています。
- 愛知県(24,547件、偏差値73.5): 自動車産業が盛んで自動車保有率が高く、名古屋市を中心に交通量が多いことが特徴です。特に名古屋高速や東名高速などの幹線道路での事故や、工業地帯周辺での大型車両関連の事故が目立ちます。
- 神奈川県(21,870件、偏差値70.0): 横浜市や川崎市など人口密集地域を抱え、首都圏の交通の要所となっています。特に首都高速や東名高速などの幹線道路での事故や、港湾地域での物流車両関連の事故が特徴的です。通勤時間帯の渋滞に伴う追突事故も多発しています。
- 福岡県(20,173件、偏差値68.0): 九州地方の中心都市として交通量が多く、都市部と地方部の交通が交錯する地域です。福岡市や北九州市などの都市部での事故に加え、九州自動車道などの高速道路での事故も多く発生しています。観光地周辺での観光バスや外国人ドライバーによる事故も増加傾向にあります。
下位5県の特徴
- 鳥取県(656件、偏差値40.0): 人口が少なく、交通量も比較的少ないため、事故発生件数が全国で最も少なくなっています。ただし、山間部での視界不良による事故や、冬季の積雪時の事故などが課題となっています。
- 島根県(756件、偏差値41.0): 鳥取県と同様に人口が少なく、都市部が限られているため事故発生件数が少ない状況です。高齢ドライバーの割合が高く、高齢者関連の事故対策が重要となっています。
- 高知県(975件、偏差値42.0): 四国地方の中でも人口が少なく、山間部が多いことから交通量が限られています。しかし、狭隘な道路が多く、離合時の事故や、急カーブでの単独事故などが特徴的です。
- 福井県(986件、偏差値42.1): 北陸地方の中でも比較的人口が少なく、交通事故発生件数も少なくなっています。冬季の積雪による視界不良や路面凍結に伴う事故が課題となっています。
- 秋田県(1,155件、偏差値42.9): 東北地方の中でも人口減少が進んでおり、交通量の少なさが事故件数の少なさにつながっています。しかし、高齢ドライバーの割合が高く、高齢者関連の事故や冬季の積雪時の事故が課題となっています。
地域別の特徴分析
関東地方
東京都(31,385件、偏差値80.0)が全国1位、神奈川県(21,870件、偏差値70.0)が4位、埼玉県(19,523件、偏差値67.0)が6位、千葉県(16,875件、偏差値64.0)が7位と首都圏では交通事故発生件数が多くなっています。人口密度の高さや交通量の多さが主な要因と考えられます。特に通勤・通学時間帯の交通集中による事故や、環状道路での合流部における事故が特徴的です。一方、栃木県(7,523件、偏差値51.0)や群馬県(6,523件、偏差値50.0)などでは比較的少なくなっています。
関西地方
大阪府(25,951件、偏差値75.0)が全国2位、兵庫県(14,523件、偏差値61.0)が8位と交通事故発生件数が多くなっています。特に大阪市内や阪神間の交通量の多さが影響していると考えられます。阪神高速道路や名神高速道路などの幹線道路での事故も多発しています。一方、奈良県(3,523件、偏差値46.0)や和歌山県(2,523件、偏差値44.5)では比較的少なくなっています。
中部・東海地方
愛知県(24,547件、偏差値73.5)が全国3位、静岡県(12,523件、偏差値58.0)が9位と交通事故発生件数が多くなっています。自動車産業が盛んな地域であり、自動車保有率の高さや交通量の多さが影響していると考えられます。特に名古屋市周辺や東名高速道路、新東名高速道路などの幹線道路での事故が多発しています。一方、富山県(2,123件、偏差値44.0)や福井県(986件、偏差値42.1)などの北陸地方では比較的少なくなっています。
九州・沖縄地方
福岡県(20,173件、偏差値68.0)が全国5位と交通事故発生件数が多くなっています。九州の中心都市として交通の要所となっていることが影響していると考えられます。特に福岡市や北九州市の都市部での事故や、九州自動車道などの高速道路での事故が特徴的です。一方、佐賀県(2,523件、偏差値44.5)や長崎県(2,639件、偏差値44.9)、大分県(2,233件、偏差値44.3)などでは比較的少なくなっています。沖縄県(2,964件、偏差値45.3)は観光客の増加に伴うレンタカー事故が特徴的です。
東北・北海道地方
北海道(9,082件、偏差値53.3)が全国11位と比較的交通事故発生件数が多くなっています。広大な面積に対して自動車依存度が高いことが影響していると考えられます。特に冬季の積雪や路面凍結による事故が特徴的です。東北地方では宮城県(4,033件、偏差値46.7)が仙台市を中心に事故が多発しています。一方、秋田県(1,155件、偏差値42.9)や岩手県(1,503件、偏差値43.4)などでは比較的少なくなっています。
交通事故発生件数の格差と課題
交通事故発生件数の地域間格差は、人口密度や交通量、道路整備状況、交通安全対策の取り組み状況などによって生じています。東京都と鳥取県では約48倍もの差があり、この格差は人口規模の差(約14倍)を大きく上回っています。
特に都市部では交通量が多く、事故発生リスクも高くなる傾向にあります。交差点での出会い頭事故や追突事故、自転車関連の事故などが多発しています。一方、地方部では事故件数は少ないものの、高速走行による重大事故や、高齢ドライバーによる事故の割合が高くなっています。
また、近年ではスマートフォンの操作による「ながら運転」や、高齢ドライバーによる操作ミスなど、新たな事故要因も増加しています。特に高齢化が進む地方部では、高齢ドライバーの安全対策が重要な課題となっています。
統計データの基本情報
この統計データは2023年度の都道府県別交通事故発生件数を示しています。交通事故発生件数とは、各都道府県内で発生した人身事故(死亡事故、負傷事故)の総数を指します。物損事故は含まれていません。
データの分析から、以下のような特徴が見られます:
- 分布の歪み: 交通事故発生件数の分布は正の歪みを示しており、平均値(約7,500件)が中央値(約4,000件)を大きく上回っています。これは東京都や大阪府、愛知県などの突出した地域が平均値を押し上げているためです。
- 明確な外れ値の存在: 東京都(31,385件)、大阪府(25,951件)、愛知県(24,547件)は明らかな外れ値であり、第4位の神奈川県(21,870件)との間にも差があります。
- 四分位範囲: 上位25%の都道府県(第3四分位)は約10,000件以上、下位25%(第1四分位)は約2,000件以下となっており、中間50%の範囲も比較的広く、地域間格差の大きさを示しています。
- 標準偏差の大きさ: 標準偏差は約7,000件と大きく、平均値の約93%に相当します。これは都道府県間のばらつきが非常に大きいことを示しています。
- 人口との相関: 交通事故発生件数は人口規模と高い相関関係にありますが、自動車保有率や道路延長、交通量などの要因も影響しています。
まとめ
交通事故発生件数は地域の人口規模や交通量、道路環境などを反映する重要な指標です。東京都や大阪府、愛知県などの大都市圏で多くの事故が発生する一方、鳥取県や島根県などの人口規模の小さい県では事故件数も少ない状況にあります。
この地域間格差は、交通量の違いや道路環境、交通安全対策の取り組み状況など様々な要因によって形成されてきました。特に近年では自動車の安全技術の向上や交通安全意識の高まりにより、全国的に事故件数は減少傾向にありますが、地域によって減少率には差があります。
今後は、高齢ドライバーの増加や新たな移動手段の普及など、交通環境の変化に対応した交通安全対策が求められています。特に事故発生件数の多い都市部では、交通安全施設の整備や交通規制の最適化、交通安全教育の強化などが重要です。一方、地方部では高齢ドライバー対策や公共交通の充実による自動車依存度の低減などが課題となっています。
また、自動運転技術やAIを活用した交通管理システムなど、新たな技術の導入による事故防止も期待されています。交通事故のない社会の実現に向けて、行政、警察、地域住民、企業など多様な主体が連携した取り組みが重要です。