2021年、有業者の男性が仕事に費やす平均時間は、長崎県で406分と最も長く、山口県では373分と最も短い結果となりました。この33分もの差は、単なる労働時間の違いだけでなく、各地域の産業構造、男性の就業形態、そして働き方の文化を色濃く反映しています。本記事では、このデータから日本の男性の働き方の地域差とその背景を読み解きます。
概要
仕事の平均時間(有業者・男)は、有業者の男性が平日1日あたりに仕事に費やす時間の平均値を分単位で表したものです。この指標は、男性の労働環境の実態を把握し、働き方改革の進捗度を測る上で重要です。2021年のデータでは、第一次産業や製造業の比重が高い地域で長く、サービス業が発達した都市部で短い傾向が見られます。これは、地域ごとの産業構造と、それに伴う雇用形態や労働条件の違いを反映しています。
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上位5県の詳細分析(仕事の時間が長い)
1位:長崎県
長崎県は406分と、全国で最も長い男性の労働時間を記録しています。造船業や水産業などの基幹産業の特性が大きく影響しており、プロジェクト型の業務や季節性の高い業務では、納期や漁期に合わせた集中的な労働が求められます。
2位:青森県、大分県
青森県と大分県は405分で同率2位。青森県は農業や水産業などの第一次産業従事者が多く、季節性の高い業務特性が労働時間に影響しています。大分県は製造業と農業のバランスが取れた産業構造を持ち、温泉観光業での接客業務なども労働時間を押し上げています。
4位:山形県、栃木県
山形県と栃木県は403分で同率4位。山形県は製造業(特に電子部品・精密機械)と農業の組み合わせが労働時間に影響しています。栃木県は首都圏に近い立地を活かした製造業が発達しており、自動車関連産業や食品加工業での労働時間が長い傾向があります。
下位5県の詳細分析(仕事の時間が短い)
47位:山口県
山口県は373分と、全国で最も男性の労働時間が短い県です。化学工業や製鉄業などの基幹産業での自動化の進展が大きな要因です。働き方改革の取り組みも進んでおり、労働時間の短縮が実現されています。
45位:京都府、大阪府
京都府と大阪府は375分で同率45位。両府県ともにサービス業や観光業の比重が高く、比較的柔軟な労働時間で働ける職種が多いことが特徴です。都市部では効率的な働き方を重視する企業が多く、労働時間管理システムの導入も進んでいます。
44位:東京都
東京都は377分で44位。金融業や情報通信業などの第三次産業が発達しており、これらの産業では労働時間管理が比較的厳格に行われています。大手企業を中心に働き方改革の取り組みが進んでおり、テレワークの普及や労働時間の短縮が実現されています。
42位:高知県
高知県は378分で42位。第一次産業と第三次産業のバランスが取れており、地域の特性に応じた柔軟な労働時間の調整が可能です。漁業や農業では、自然条件に合わせた労働時間の調整が可能であり、過度な長時間労働を避けることができています。
社会的・経済的影響
男性の労働時間の地域差は、地域経済の活力と、人々の生活の質の両面に影響を及ぼします。労働時間が長い地域は、一見すると経済活動が活発であるように見えますが、その裏では長時間労働による健康問題や、家庭生活の犠牲といった課題を抱えている可能性があります。これは、男性の育児参加を妨げ、結果として女性に家事・育児の負担が偏るというジェンダー問題にも繋がります。
一方で、労働時間が短い地域は、ワークライフバランスが取れていると評価できるかもしれませんが、サービス業の生産性が低い、あるいは賃金水準が低いことの裏返しである可能性も否定できません。もし短時間労働が低賃金と結びついている場合、それは地域経済の停滞や、若者の県外流出を招く要因となり得ます。
対策と今後の展望
目指すべきは、単に労働時間を短縮することではなく、「生産性が高く、公正な対価が支払われ、かつ持続可能な働き方」を実現することです。労働時間が長い地域では、ITツール導入による業務効率化や、不要な会議・慣習の見直しといった、具体的な長時間労働是正策が求められます。また、男性が育児休業を取得しやすい文化の醸成も不可欠です。
労働時間が短い地域では、その時間を自己投資や地域活動、家庭生活の充実に繋げられるような社会的な仕組みが必要です。副業・兼業の促進や、リカレント教育(学び直し)の機会提供などを通じて、労働時間の短さが個人の豊かさに直結するようなモデルを構築することが期待されます。今後は、労働時間の「量」だけでなく、その「質」をいかに高めていくかという視点が、すべての地域で重要になるでしょう。
指標 | 値分 |
---|---|
平均値 | 390.2 |
中央値 | 389 |
最大値 | 406(長崎県) |
最小値 | 373(山口県) |
標準偏差 | 9.4 |
データ数 | 47件 |
まとめ
2021年の男性の仕事の平均時間は、地域ごとの産業構造と働き方の実態を鮮明に映し出しました。長崎や青森のように、第一次産業や製造業の比重が高く労働時間が長くなる地域がある一方で、山口や京都のように、自動化の進展やサービス業の特性から労働時間が短くなる地域もありました。このデータは、男性の働き方改革を進める上で、産業構造や都市の機能といった、地域ごとのマクロな視点を持つことの重要性を示唆しています。
順位↓ | 都道府県 | 値 (分) | 偏差値 | 前回比 |
---|---|---|---|---|
1 | 長崎県 | 406 | 66.9 | -1.5% |
2 | 青森県 | 405 | 65.8 | -2.6% |
3 | 大分県 | 405 | 65.8 | -1.5% |
4 | 山形県 | 403 | 63.7 | +1.0% |
5 | 栃木県 | 403 | 63.7 | -1.5% |
6 | 石川県 | 401 | 61.5 | -5.9% |
7 | 宮崎県 | 401 | 61.5 | +1.0% |
8 | 宮城県 | 400 | 60.4 | -0.7% |
9 | 愛知県 | 400 | 60.4 | -3.4% |
10 | 和歌山県 | 400 | 60.4 | -2.9% |
11 | 沖縄県 | 400 | 60.4 | -5.7% |
12 | 長野県 | 399 | 59.4 | -3.9% |
13 | 香川県 | 399 | 59.4 | -5.5% |
14 | 滋賀県 | 398 | 58.3 | -1.7% |
15 | 福岡県 | 398 | 58.3 | -6.3% |
16 | 富山県 | 397 | 57.2 | -3.4% |
17 | 佐賀県 | 397 | 57.2 | -6.2% |
18 | 岩手県 | 396 | 56.2 | -4.1% |
19 | 群馬県 | 393 | 53.0 | -6.9% |
20 | 愛媛県 | 393 | 53.0 | -2.7% |
21 | 千葉県 | 392 | 51.9 | -3.0% |
22 | 熊本県 | 392 | 51.9 | -11.7% |
23 | 広島県 | 391 | 50.8 | -2.5% |
24 | 北海道 | 389 | 48.7 | -8.9% |
25 | 福島県 | 389 | 48.7 | -7.6% |
26 | 山梨県 | 389 | 48.7 | -3.5% |
27 | 兵庫県 | 389 | 48.7 | -8.3% |
28 | 福井県 | 387 | 46.6 | -8.3% |
29 | 鹿児島県 | 387 | 46.6 | -5.6% |
30 | 奈良県 | 385 | 44.4 | -5.2% |
31 | 茨城県 | 383 | 42.3 | -5.4% |
32 | 静岡県 | 383 | 42.3 | -6.8% |
33 | 島根県 | 383 | 42.3 | +1.1% |
34 | 埼玉県 | 382 | 41.2 | -4.3% |
35 | 岐阜県 | 382 | 41.2 | -8.2% |
36 | 鳥取県 | 382 | 41.2 | -9.7% |
37 | 徳島県 | 382 | 41.2 | -7.5% |
38 | 神奈川県 | 381 | 40.2 | -7.5% |
39 | 新潟県 | 381 | 40.2 | -9.5% |
40 | 三重県 | 381 | 40.2 | -4.5% |
41 | 岡山県 | 380 | 39.1 | -9.7% |
42 | 秋田県 | 378 | 37.0 | -5.3% |
43 | 高知県 | 378 | 37.0 | -3.3% |
44 | 東京都 | 377 | 35.9 | -3.1% |
45 | 京都府 | 375 | 33.8 | -3.6% |
46 | 大阪府 | 375 | 33.8 | -9.0% |
47 | 山口県 | 373 | 31.6 | -6.5% |