「国民食」と呼ばれるカレー。どの家の食卓にも当たり前に並ぶ料理だからこそ、消費量に大きな県差があるとは想像しにくい。だが2024年の家計調査を見ると、その思い込みは裏切られる。
カレールウの年間消費量(都道府県庁所在市の二人以上世帯)は、1位の新潟県が1,815g、最下位の茨城県が885g。その差は930g、倍率にして2.05倍にのぼる。同じ「カレー好き」を自認する国の中で、住む県によって買うルウの量がここまで違うのだ。
さらに上位を眺めると、新潟・山形・北海道・福島といった雪国や米どころが顔を並べる一方、愛知・兵庫・京都・東京といった大都市圏が下位に沈む。この記事では、カレールウ消費の県差を可視化し、「なぜ雪国・米どころで多いのか」を探っていく。
NOTE
ここでの「カレールウ消費量」は家計調査における都道府県庁所在市の二人以上世帯の年間購入量(g)。世帯あたりの数値であり、外食のカレーやレトルトカレーは含まない。県全体ではなく県庁所在市のサンプルである点に注意。
カレールウ消費量ランキング TOP10 と最下位
| 順位 | 都道府県 | 消費量 (g) |
|---|---|---|
| 1 | 新潟県 | 1,815 |
| 2 | 徳島県 | 1,526 |
| 3 | 山形県 | 1,524 |
| 4 | 鳥取県 | 1,520 |
| 5 | 北海道 | 1,468 |
| 6 | 福島県 | 1,439 |
| 7 | 静岡県 | 1,406 |
| 8 | 香川県 | 1,405 |
| 9 | 鹿児島県 | 1,400 |
| 10 | 佐賀県 | 1,392 |
| … | … | … |
| 46 | 兵庫県 | 894 |
| 47 | 茨城県 | 885 |
突出しているのは新潟県の1,815gだ。2位の徳島県(1,526g)を約290gも引き離す独走で、米どころ・新潟がカレールウでも全国トップに立っている。続く山形県(1,524g)、北海道(1,468g)、福島県(1,439g)と、上位には寒冷地や雪国が目立つ。一方で徳島県・鳥取県・香川県・佐賀県・鹿児島県といった西日本・山陰・九州の県も上位に食い込んでおり、「単純に北が多い」とは言い切れない分布になっている。
カレールウ消費量ランキングをもっと見る最下位グループ:大都市圏が軒並み下位に
| 順位 | 都道府県 | 消費量 (g) |
|---|---|---|
| 43 | 東京都 | 1,032 |
| 44 | 京都府 | 960 |
| 45 | 愛知県 | 955 |
| 46 | 兵庫県 | 894 |
| 47 | 茨城県 | 885 |
下位を見ると、最下位は茨城県の885g。これに兵庫県(894g)、愛知県(955g)、京都府(960g)、東京都(1,032g)が続く。
注目したいのは、兵庫・愛知・京都・東京という大都市圏が軒並み下位に並んでいる点だ。人口の多い都市部ほど外食・中食(惣菜やレトルト)の選択肢が豊富で、家庭でルウを買って一から作る機会が相対的に少ないと考えられる。最下位の茨城県も、首都圏に近く食の外部化が進みやすい立地である。
TIP
このランキングは「世帯がスーパーで買うルウの量」であり、「カレーをよく食べるか」とは必ずしも一致しない。外食やレトルトでカレーを楽しむ県は、ルウの購入量としては低く出やすい。
発見:上位は「雪国・米どころ」、下位は「大都市圏」
上位と下位を並べると、ひとつの構図が浮かぶ。上位は新潟・山形・福島・北海道といった雪国や米どころが中心で、下位は東京・愛知・兵庫・京都といった大都市圏が中心だ。
NOTE
[仮説] 雪国・寒冷地でカレールウ消費が多いのは、(1) 一度に大量調理して温め直せるカレーが寒冷地・降雪期の家庭料理として合理的、(2) 米どころでは「カレーライス」としてご飯と組み合わせる食習慣が根づきやすい、といった要因が考えられる。一方、大都市圏で少ないのは外食・中食の選択肢の多さによる「食の外部化」が背景にある可能性がある。いずれも本データだけでは因果を確定できず、気温・降雪量・外食率などとの突き合わせによる検証が必要。
ただし、この構図には例外も多い。秋田県は36位(1,097g)、宮城県は37位(1,092g)と、東北でありながら下位に沈む。逆に徳島県(2位)、鳥取県(4位)、香川県(8位)、佐賀県(10位)など、雪の少ない西日本・山陰・四国・九州の県も上位に並ぶ。つまり「北日本だから多い」という単純な説明は成り立たず、新潟を頂点とする日本海側・米どころの強さと、大都市圏の弱さが同時に効いていると見るのが実態に近い。
まとめ
- カレールウ消費量1位は新潟県の1,815gで、2位以下を大きく引き離す独走。
- 最下位は茨城県の885g。1位との差は930g、倍率は2.05倍にのぼる。
- 上位には新潟・山形・北海道・福島など雪国・米どころが多く並ぶ。
- 下位には東京・愛知・兵庫・京都など大都市圏が集中し、最下位は茨城。
- ただし秋田36位・宮城37位など東北の例外も多く、「北日本だから多い」とは言い切れない。日本海側・米どころの強さと大都市圏の弱さが同時に効いている。
データ出典
総務省統計局「家計調査」(2024年)。都道府県庁所在市の二人以上世帯における年間カレールウ購入量(g)を、e-Stat 経由で取得・整備した。県庁所在市のサンプルに基づく値であり、県全体・外食・レトルトは含まない。