パイロット1964万・介護職309万

年収
職種別
賃金格差
給与

年収は「何の仕事をするか」と「どこに住むか」で決まります。航空機操縦士(パイロット)の東京都における平均年収は1,964万円。一方、介護職員の大分県における平均年収は309万円。同じ日本で働いていても、職種と都道府県が違えば年収は約6.4倍変わります。

本記事では厚生労働省「賃金構造基本統計調査」に基づく39職種の都道府県別年収データから、職種間格差と地域格差の二重構造を分析します。

39職種の全国平均年収──上位と下位

39職種の全国平均年収(2023年)を概観すると、職種間の格差の大きさがわかります。

39職種の全国平均年収 出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2023年

1位の医師(1,443万円)と39位の看護助手(301万円)の間には約4.8倍の開きがあります。上位は医療系の高度専門職と教育職が占め、下位には対人サービス職が集中しています。

看護師──同じ資格でも大阪568万 vs 宮崎416万

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2023年

看護師の全国平均は約499万円。1位の大阪府(568.1万円)と最下位の宮崎県(416.3万円)の差は152万円です。同じ看護師免許を持ち、同じ業務をしていても、勤務地が違えば月収にして約13万円の差がつきます。

上位には大阪・神奈川・静岡・山梨・山形が並びます。大都市圏だけでなく山梨・山形が上位に入っている点は注目に値します。これらの県では看護師の人手不足が深刻で、確保のために給与水準を引き上げている可能性があります。

下位には宮崎・熊本・大分・青森・鹿児島と、九州南部・東北の県が並びます。医療機関の規模が小さく、診療報酬に基づく給与設定の限界が影響しています。

NOTE

年収は「きまって支給する現金給与額 x 12 + 年間賞与」で算出。准看護師は別集計(全国平均約410万円)で、看護師との差は約90万円あります。

介護職員──全職種でワースト級の地域格差

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2023年

介護職員の全国平均は約360万円。1位の広島県(411.3万円)と最下位の大分県(308.6万円)で103万円の差があります。

広島県が1位という結果は意外に見えますが、広島県は介護職員の処遇改善に独自の加算制度を設けていることが背景にあります。2位の東京都(411.0万円)とはわずか0.3万円差です。

下位5県は大分(308.6万円)・沖縄(312.0万円)・青森(312.7万円)・宮崎(313.7万円)・長崎(323.1万円)。いずれも310万円前後という水準は、全産業平均を大きく下回ります。

介護報酬は全国一律の公定価格であり、人件費を上乗せする余地が限られます。地域の物価差に比べて報酬差が小さいため、大都市圏では相対的に「割に合わない」状況が生まれ、地方では絶対額の低さが人材確保の障壁になるという構造的な問題を抱えています。

トラック運転者──2024年問題と物流の賃金格差

トラック運転者の全国平均は約468万円。東京都593.3万円に対し長崎県347.4万円で、246万円の差があります。

2024年4月に施行された時間外労働の上限規制(年960時間)──いわゆる「2024年問題」──は、残業代に依存してきた運転者の手取りを減少させる一方、人手不足を加速させています。特に年収が低い地方では、他産業への転職が進むリスクが指摘されています。

上位には東京・神奈川のほか、三重(562.9万円)・熊本(554.1万円)など物流拠点を擁する県が入ります。三重は四日市港、熊本はTSMC進出に伴う輸送需要の増加が背景にあります。

NOTE

トラック運転者のデータは「営業用大型貨物自動車運転者」(緑ナンバー大型トラック)が対象です。2024年問題の影響が年収に反映されるのは2024年分の調査以降になります。

医師──なぜ沖縄が1位で石川が最下位なのか

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2023年

医師の全国平均は約1,443万円と39職種で最高額です。しかし地域格差も大きく、1位の沖縄県(1,853.8万円)と最下位の石川県(935.4万円)で918万円、約2倍の差があります。

沖縄が1位になる理由は、離島を含む広い医療圏で医師不足が深刻であり、確保のために高い報酬を提示する必要があるためです。同様に2位の北海道(1,783.6万円)、4位の福島県(1,706.1万円)、5位の青森県(1,681.6万円)も医師不足地域です。

石川県が最下位となるのは、金沢大学医学部を中心とした医師供給が相対的に安定しており、他県ほどの高額提示が不要なためと考えられます。大学病院の医師比率が高い県では、勤務医の給与水準が全体の平均を下げる傾向もあります。

医師の年収ランキングは「高い=恵まれている」ではなく、**「高い=医師不足が深刻」**という逆説的な構造を示しています。

まとめ──職種選択と居住地が年収を決める二重構造

39職種の都道府県別年収データから見えてくるのは、職種間格差と地域格差の二重構造です。

  • 職種間格差: 医師1,443万円 vs 看護助手301万円 = 約4.8倍
  • 地域格差の例: 看護師で大阪568万 vs 宮崎416万 = 152万円差
  • 二重格差の最大幅: パイロット東京1,964万 vs 介護職大分309万 = 約6.4倍

介護や保育のように公定価格で報酬が決まる職種では、市場原理による賃金調整が効きにくく、地域格差が固定化しやすい構造があります。一方、医師やパイロットのように高度専門職では人材不足地域が高額報酬を提示するため、「地方の方が年収が高い」逆転現象が起こります。

年収を左右する要因は個人の能力や努力だけではなく、「どの職種を選ぶか」と「どの地域で働くか」という構造的な条件が大きいことを、データは示しています。

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」本記事のデータは厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2023年に基づいています。年収は「きまって支給する現金給与額 x 12 + 年間賞与」で算出。航空機操縦士は全国47都道府県中16都道府県のみにデータがあります。 看護師の年収ランキング 介護職員の年収ランキング 医師の年収ランキング トラック運転者の年収ランキング 航空機操縦士の年収ランキング
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