海外旅行する県、しない県

海外旅行
行動者率
国際化
地域格差
県民性

円安の逆風が続く中でも海外旅行者は回復傾向にある。しかし「海外に行く人の割合」を都道府県別に見ると、最大で約3.6倍もの格差がある。あなたの県の「外向き度」はどのくらいだろうか。社会生活基本調査のデータから、日本人の国際的な移動意欲の地域差を読み解く。

海外旅行行動者率ランキング──1位は東京の18.2%

2001年の社会生活基本調査による海外旅行行動者率(15歳以上人口のうち海外旅行をした人の割合)を見ると、1位は東京都の18.2%。2位の神奈川県(16.4%)、3位の奈良県(14.8%)、4位の愛知県(14.7%)と続く。奈良県が3位に入っているのが意外なポイントだ。関西国際空港へのアクセスに優れ、外国人観光客との接点が多い環境が影響していると考えられる。

一方、下位は秋田県(5.0%)、青森県(5.2%)、岩手県(5.7%)と東北地方が並ぶ。1位の東京と最下位の秋田では約3.6倍の差がある。東北は国際空港へのアクセスが不便で、直行国際便の便数も限られるため、海外旅行のハードルが構造的に高い。

海外旅行行動者率 上位10・下位10

NOTE

このデータは2001年の社会生活基本調査に基づく。海外旅行行動者率の都道府県別データはこの年が最新であり、現在の水準とは異なる可能性がある点に留意が必要。

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全国マップで見る「外向きな県」の分布

タイルグリッドマップで全国を俯瞰すると、首都圏・中京圏・近畿圏の大都市圏で海外旅行率が高く、東北・九州南部で低い傾向が明確に見える。地理的に空港へのアクセスが良い地域ほど率が高い傾向がある。特に大阪府(12.6%)や愛知県(14.7%)のように大型国際空港を擁する府県は、近隣の県の海外旅行率を押し上げる効果があると考えられる。

海外旅行行動者率

男女差に注目──「女性の方が海外に行く」は本当か?

男女別に見ると、興味深いパターンが浮かび上がる。東京都では女性の海外旅行率(19.3%)が男性(17.1%)を上回り、千葉県でも女性(15.5%)が男性(12.5%)を大きく上回っている。

一方、愛知県では男性(15.1%)が女性(14.3%)をやや上回るなど、県によって逆転現象も見られる。都市部では女性の方が海外旅行に積極的な傾向があるが、それは全国共通ではない。製造業が主要産業の県では男性の海外出張がカウントされやすく、女性との差が縮まりやすい可能性がある。

男女別 海外旅行行動者率(上位10・下位5)

所得が高い県ほど海外旅行する?

1人当たり県民所得と海外旅行行動者率の散布図を見ると、一定の正の相関はあるものの、例外も多い。奈良県は所得水準が中程度でありながら海外旅行率3位に入っており、近畿圏の国際空港(関西国際空港)へのアクセスの良さが影響していると考えられる。

逆に、茨城県は所得水準が比較的高いにもかかわらず海外旅行率は中位にとどまっている。所得だけでなく、空港アクセス・国際線の便数・県民の海外志向といった複合的な要因が海外旅行率を左右している。所得と行動者率の関係は傾向の参考として見るにとどめ、空港立地や地域の国際化度合いを組み合わせて解釈することが重要だ。

県民所得と海外旅行率の関係

NOTE

県民所得は2021年度のデータ。海外旅行率(2001年)との年次差が大きいため、相関の解釈は傾向の参考にとどめること。

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まとめ

海外旅行行動者率から見える日本人の「外向き度」の地域差を整理する。

この記事でわかったこと

海外旅行率は単なる「旅行好き度」の指標ではなく、その地域の国際的な開放度や移動環境を映し出す鏡でもある。2001年のデータではあるが、大都市圏と地方の構造的な格差は現在も大きく変わっていない可能性が高い。空港アクセスの改善やLCC路線の拡充が地方の「外向き度」をどう変えるか、今後のデータ更新にも注目したい。

データ出典:

データ出典

本記事のデータはe-Stat(政府統計の総合窓口)を基に作成しています。

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