1980年、30代前半男性の未婚率は全国平均21.5% でした。2005年には47.1% に達し、2人に1人近くが未婚に。ところが、その後の15年間で上昇は止まり、2020年は43.7% とわずかに低下しています。
「未婚化は加速し続けている」と思われがちですが、データはもう少し複雑な構造を示しています。40年分の国勢調査データを47都道府県で追います。
NOTE
本記事の未婚率は国勢調査(5年ごと)の「未婚者割合」です。法律上の婚姻歴がない人の割合で、離別・死別は含みません。
40年間の未婚率推移──上昇は止まったのか
30代前半の未婚率は、男女で異なるカーブを描いています。
男性は「急増→頭打ち」型。1980年の21.5%から2005年の47.1%まで25年間で26ポイント上昇。しかし2010年(46.0%)、2015年(44.7%)、2020年(43.7%)と3期連続で微減しています。
女性は「追い上げ→横ばい」型。1980年の9.1%から2010年の33.9%まで30年で25ポイント上昇。こちらも2015年(33.6%)、2020年(33.6%)と横ばいに転じました。
男女ともに2005〜2010年を境に上昇が止まっているのが最大の発見です。少子化対策の議論では「未婚化が進んでいる」と語られがちですが、全国平均で見る限り、上昇は一巡した可能性があります。
TIP
未婚率が「頭打ち」になった理由のひとつは、団塊ジュニア世代の通過効果です。1970年代生まれの大量のコーホートが2005年前後に30代前半を通過し、未婚率を押し上げていました。
未婚率ランキング──地方の男性、過半数が未婚
1位は秋田県の51.8%。30代前半男性の過半数が未婚です。2位は青森県(51.4%)、3位は徳島県(49.7%)と続きます。
意外なのは下位。最も未婚率が低いのは大阪府の39.3%、次いで東京都(39.9%)。「都市部の方が結婚しにくい」という通念とは逆に、大都市圏の方が未婚率が低いのです。
この逆転現象の理由は明確です。地方から若い女性が都市部に流出し、地方では男女比の偏りが拡大。秋田や青森では「出会いの機会」そのものが構造的に不足しています。一方、大都市には人が集まるため出会いの機会が多く、結果として婚姻に結びつきやすい。
WARNING
ただし1位の秋田(51.8%)と47位の大阪(39.3%)の差は約12ポイント。全国どこでも4割前後が未婚という「全国的な高水準」が前提にあることを見落としてはなりません。
全国マップ
マップで俯瞰すると、**東北・北関東が濃い色(**未婚率が高い)に染まっています。秋田・青森・岩手・新潟・茨城・群馬──いずれも若年女性の流出が顕著な県です。
一方、関西・九州はやや薄い色。大阪・福岡・宮崎・鹿児島は40%前後にとどまります。
47都道府県の未婚率ランキングをもっと見る婚姻率と初婚年齢──結婚する人が減り、結婚が遅くなる二重の変化
未婚化の背景には2つの構造変化が同時進行しています。
婚姻率は半世紀で半減しました。1975年の**8.4‰(千人当たり8.4組) から2022年の4.0‰**へ。結婚する人の割合が半分になっています。特にコロナ禍の2020年(4.2‰)以降は過去最低水準に張り付いています。
初婚年齢は着実に上昇。夫の初婚年齢は1975年の27.0歳から2023年の31.1歳へ4歳上昇。妻は24.7歳→29.7歳と5歳上昇しました。
注目すべきは、初婚年齢の上昇が2015年前後で頭打ちになっている点です。夫は31.1歳前後、妻は29.4歳前後で横ばい。未婚率の頭打ちと時期が一致しており、「結婚を先延ばしにしていた層」が一定の年齢で結婚に踏み切る構造が見えます。
47都道府県の婚姻率ランキングを見る未婚率と出生率──未婚化が少子化に直結するか
NOTE
未婚率は2020年、出生率は2023年とデータ年次が異なります。ただし未婚率は5年ごとの国勢調査値のため、最新の2020年を使用しています。
散布図で未婚率と出生率の関係を見ると、緩やかな負の相関が確認できます。未婚率が高い県ほど出生率が低い傾向です。
右下(未婚率が高く出生率が低い)には秋田、青森、北海道。若い女性の流出→男性の未婚化→出生数の減少、という負のスパイラルが可視化されています。
左上(未婚率が低く出生率が高い)には沖縄県、宮崎県、鹿児島県。出会いの機会が比較的多く、結婚・出産にもつながりやすい構造です。
特異な例外は東京都。未婚率は39.9%と全国で2番目に低いにもかかわらず、出生率は0.99と全国最低です。東京は結婚はしやすいが、住居費・教育費の高さから「結婚しても子どもを持たない/持てない」選択が多いことを示しています。
未婚率 × 出生率の相関を都道府県別に見るまとめ
40年間の未婚率データを追った結果、「未婚化は一直線に進んでいる」というイメージとは異なる構造が見えてきました。
男女ともに2005〜2010年を境に未婚率の上昇は止まりましたが、「止まった水準」自体が男性44%・女性34%と極めて高い。これが少子化に直結する構造は変わっていません。
地域差の本質は「出会いの機会の不均衡」です。地方からの若年女性の流出は、送り出す側の地方では男性の未婚化を加速させ、受け入れる側の都市部では出会いの機会を増やす。結婚を望む人にとって、「どこに住むか」はデータが示す以上に大きな選択かもしれません。
データ出典
本記事のデータはe-Stat(政府統計の総合窓口)を基に作成しています。
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