都道府県別立体横断施設数ランキング(2022年度)

概要

立体横断施設は、歩行者や自転車が道路を安全に横断するための重要なインフラストラクチャーです。歩道橋や地下道などの立体的な横断施設により、交通の流れを妨げることなく安全な移動が可能となります。2022年度の都道府県別立体横断施設数を調査した結果、地域によって大きな格差が見られました。

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上位県と下位県の比較

上位5県の詳細分析

上位5県は都市部に集中しており、人口密度や交通量の多さが立体横断施設の整備を促進している要因と考えられます。

愛知県1,343箇所(偏差値84.2)で全国1位となっています。愛知県は製造業の集積地として発展し、名古屋市を中心とした都市圏の交通需要が高く、安全な歩行者環境の整備が進んでいます。

東京都1,126箇所(偏差値76.9)で2位に位置しています。首都として極めて高い人口密度を持つ東京都では、限られた道路空間で歩行者の安全を確保するため、立体横断施設の整備が不可欠となっています。

神奈川県964箇所(偏差値71.5)で3位となっています。横浜市、川崎市などの大都市を抱え、東京都に隣接する立地から交通量が多く、歩行者の安全確保のための施設整備が進んでいます。

大阪府881箇所(偏差値68.7)で4位に入っています。関西圏の中心として高い都市化が進んでおり、大阪市を中心とした密集した市街地での歩行者の安全確保が重要視されています。

埼玉県853箇所(偏差値67.8)で5位となっています。東京都のベッドタウンとして発展し、通勤・通学による交通量の増加に対応した歩行者インフラの整備が進んでいます。

下位5県の特徴分析

下位5県は人口規模が小さく、都市化の程度が相対的に低い地域が占めています。

鳥取県高知県がともに53箇所(偏差値41.1)で最下位タイとなっています。両県とも人口が少なく、都市部の集中度が低いため、立体横断施設の必要性が相対的に低いと考えられます。

和歌山県宮崎県がともに82箇所(偏差値42.0)で44位タイとなっています。これらの県も人口規模が小さく、交通量に応じた施設整備となっています。

長崎県86箇所(偏差値42.2)で43位に位置しています。離島部を多く抱える地理的特性から、立体横断施設の整備箇所が限定的となっています。

地域別の特徴

首都圏では、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県がすべて上位にランクインしており、高密度な都市環境における歩行者安全対策の必要性を反映しています。

中部地方では、愛知県が全国1位となっているほか、静岡県、岐阜県、長野県も上位に位置し、製造業の集積や交通の要衝としての特徴が施設整備に影響しています。

関西圏では、大阪府、兵庫県が上位に入る一方、京都府は中位にとどまっており、都市の性格や地形の違いが反映されています。

中国・四国地方では、広島県、岡山県が比較的上位に位置する一方、その他の県は下位に集中しており、地域内での格差が顕著です。

九州地方では、福岡県が12位と健闘していますが、その他の県は軒並み下位に位置しており、人口分布の偏在が影響しています。

格差と課題の考察

立体横断施設数の都道府県格差は非常に大きく、最多の愛知県と最少の鳥取県・高知県では約25倍の差があります。この格差は主に以下の要因によるものと考えられます。

人口密度と都市化の程度が最も大きな要因となっており、都市部では交通量が多く歩行者の安全確保が重要課題となる一方、地方部では相対的に整備の必要性が低くなっています。

経済活動の活発さも重要な要因で、製造業や商業の集積地では通勤・物流による交通量が多く、歩行者との分離が重要になります。

地形や道路構造も影響しており、平地の多い都市部では立体横断施設の設置が比較的容易である一方、山間部では地形的制約があります。

統計データの基本情報と分析

2022年度の立体横断施設数の統計分析から、以下の特徴が明らかになります。

全国平均は約329箇所、中央値は約203箇所となっており、平均値が中央値を大きく上回っていることから、分布に正の歪みが見られます。これは一部の都市部の県が極めて多くの施設を持つ一方、多くの県が平均を下回っていることを示しています。

標準偏差は約291箇所と大きく、都道府県間のばらつきが非常に大きいことが分かります。偏差値の範囲は41.1から84.2まで広がっており、地域格差の大きさを数値的に示しています。

四分位範囲(第1四分位数103箇所、第3四分位数389箇所)を見ると、下位25%の県は103箇所以下、上位25%の県は389箇所以上となっており、中間層の幅も大きいことが特徴的です。

最大値の愛知県(1,343箇所)は明らかな外れ値として突出しており、2位の東京都との差も200箇所以上あることから、愛知県の特殊性が際立っています。

まとめ

2022年度の都道府県別立体横断施設数ランキングでは、愛知県が1,343箇所で圧倒的な1位となり、東京都、神奈川県がこれに続きました。上位県は都市部に集中しており、人口密度、交通量、経済活動の活発さが立体横断施設整備の主要因となっています。

一方、下位県は人口規模の小さい地方部が占めており、鳥取県と高知県が53箇所で最下位タイとなりました。都市部と地方部の間には約25倍という大きな格差が存在し、地域の特性に応じた交通インフラ整備の現状を反映しています。

この格差は交通需要の違いを反映した合理的な側面もありますが、各地域の実情に応じた適切な歩行者安全対策の継続的な検討が重要といえるでしょう。

出典