2001年度における15歳以上の日本人を対象とした海外旅行の年間行動者率について、都道府県別のランキングを分析します。このデータは、2000年代初頭の各地域の国際的な交流度や経済的な活力を示す重要な指標です。
概要
海外旅行の年間行動者率は、特定の年に海外へ渡航した15歳以上の人々の割合を都道府県別に示したものです。この率は、地域の経済状況、国際的なビジネスや文化交流への関心度、さらには地理的なアクセスの容易さなど、多岐にわたる要因を反映しています。特に、国際空港への近さや、地域住民の所得水準が、この率に大きく影響を与えると考えられます。
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上位県と下位県の比較
上位5県の詳細分析
2001年度の海外旅行年間行動者率で上位にランクインした都道府県は、首都圏や関西圏など、国際的なアクセスが良い大都市圏が中心でした。
東京都
東京都は、年間行動者率18.2%(偏差値76.5)で全国1位です。日本の首都として経済活動が集中し、成田空港(当時)や羽田空港からの国際線が豊富なため、海外渡航が非常に容易でした。
神奈川県
神奈川県は16.4%(偏差値70.7)で2位にランクインしています。東京都に隣接し、横浜港という国際貿易港を持つなど、海外との接点が多い地域です。
奈良県
奈良県は14.8%(偏差値65.5)で3位です。関西国際空港へのアクセスが良く、大阪のベッドタウンとして高所得者層も多いことが、高い海外旅行率につながったと考えられます。
愛知県
愛知県は14.7%(偏差値65.2)で4位でした。製造業が盛んで、海外とのビジネス渡航が多いことに加え、経済的な豊かさも背景にあるでしょう。
千葉県
千葉県は14.5%(偏差値64.6)で5位に入りました。成田国際空港の所在地であり、地理的な優位性が際立っています。
下位5県の詳細分析
下位の県は、主に東北地方や九州地方南部に集中しており、地理的な要因や経済的な背景が影響していると考えられます。
沖縄県
沖縄県は6.2%(偏差値37.8)で44位です。当時はまだ那覇空港の国際線が現在ほど多くなく、海外への渡航が不便だったことが一因と考えられます。
岩手県
岩手県は5.7%(偏差値36.2)で45位です。国際空港から遠く、海外へのアクセスが限られていることが大きな要因です。
青森県
青森県は5.2%(偏差値34.6)で46位でした。本州の最北端に位置し、交通の便が良いとは言えない状況が影響しています。
秋田県
秋田県は5.0%(偏差値34.0)で最下位の47位となりました。海外へのアクセスが困難であることに加え、経済的な要因も考えられます。
地域別の特徴分析
社会的・経済的影響
2001年当時、海外旅行の年間行動者率は、地域の経済力や国際性を測るバロメーターでした。この率が高い地域は、グローバルな視点を持つ人材が育ちやすく、国際的なビジネスチャンスにも恵まれていました。一方、率が低い地域は、国内市場に依存する傾向が強く、経済や文化の面で国際的な潮流から取り残されるリスクを抱えていました。この格差は、情報格差や機会格差にもつながり、長期的な地域の発展に影響を与えた可能性があります。
対策と今後の展望
2001年以降、LCCの台頭や地方空港の国際線拡充により、海外旅行へのハードルは大きく下がりました。また、インターネットの普及により、海外の情報も容易に入手できるようになりました。しかし、依然として地域間の経済格差は存在し、それが海外旅行への意欲や機会の差につながっている側面は否定できません。今後、各地域が国際的な競争力を維持・向上させていくためには、継続的な交通インフラの整備や、地域経済の活性化、そしてグローバルな視野を持つ人材の育成が不可欠です。
統計データの基本情報と分析
指標 | 値% |
---|---|
平均値 | 10 |
中央値 | 9.7 |
最大値 | 18.2(東京都) |
最小値 | 5(秋田県) |
標準偏差 | 3.1 |
データ数 | 47件 |
まとめ
2001年度の海外旅行年間行動者率ランキングは、当時の日本の地域社会が抱える、国際化における地理的・経済的な課題を明確に示しています。大都市圏と地方との間には大きな格差が存在し、特に交通アクセスの利便性が海外渡航率に直結していました。この状況は、その後の日本の社会経済の変化を考える上で、重要な示唆を与えてくれます。
順位↓ | 都道府県 | 値 (%) | 偏差値 | 前回比 |
---|---|---|---|---|
1 | 東京都 | 18.2 | 76.5 | -6.7% |
2 | 神奈川県 | 16.4 | 70.7 | -3.0% |
3 | 奈良県 | 14.8 | 65.5 | +0.7% |
4 | 愛知県 | 14.7 | 65.2 | +8.9% |
5 | 千葉県 | 14.5 | 64.6 | -8.2% |
6 | 京都府 | 14.4 | 64.2 | +5.9% |
7 | 兵庫県 | 13.9 | 62.6 | -6.1% |
8 | 大阪府 | 13.7 | 62.0 | -11.6% |
9 | 滋賀県 | 13.0 | 59.7 | +2.4% |
10 | 岐阜県 | 12.7 | 58.8 | +12.4% |
11 | 福岡県 | 12.5 | 58.1 | +1.6% |
12 | 埼玉県 | 12.4 | 57.8 | -10.8% |
13 | 茨城県 | 11.9 | 56.2 | +2.6% |
14 | 山梨県 | 11.7 | 55.6 | -12.0% |
15 | 静岡県 | 11.4 | 54.6 | -8.8% |
16 | 三重県 | 11.2 | 53.9 | +4.7% |
17 | 長野県 | 11.0 | 53.3 | -10.6% |
18 | 石川県 | 10.8 | 52.7 | -6.1% |
19 | 富山県 | 10.3 | 51.0 | -6.4% |
20 | 栃木県 | 10.2 | 50.7 | +1.0% |
21 | 福井県 | 9.9 | 49.8 | -8.3% |
22 | 岡山県 | 9.8 | 49.4 | +2.1% |
23 | 熊本県 | 9.8 | 49.4 | +19.5% |
24 | 群馬県 | 9.7 | 49.1 | -2.0% |
25 | 広島県 | 9.5 | 48.5 | -7.8% |
26 | 大分県 | 9.4 | 48.1 | +3.3% |
27 | 宮城県 | 9.1 | 47.2 | +4.6% |
28 | 佐賀県 | 8.9 | 46.5 | +11.3% |
29 | 和歌山県 | 8.6 | 45.6 | -15.7% |
30 | 北海道 | 8.3 | 44.6 | -3.5% |
31 | 徳島県 | 8.3 | 44.6 | - |
32 | 鳥取県 | 8.1 | 44.0 | -12.0% |
33 | 山形県 | 7.6 | 42.3 | -6.2% |
34 | 山口県 | 7.5 | 42.0 | -7.4% |
35 | 高知県 | 7.5 | 42.0 | +27.1% |
36 | 香川県 | 7.2 | 41.1 | -21.7% |
37 | 宮崎県 | 7.1 | 40.7 | +4.4% |
38 | 島根県 | 7.0 | 40.4 | -4.1% |
39 | 福島県 | 6.8 | 39.8 | -34.0% |
40 | 新潟県 | 6.8 | 39.8 | -22.7% |
41 | 長崎県 | 6.8 | 39.8 | -8.1% |
42 | 愛媛県 | 6.7 | 39.4 | -2.9% |
43 | 鹿児島県 | 6.7 | 39.4 | -4.3% |
44 | 沖縄県 | 6.2 | 37.8 | -11.4% |
45 | 岩手県 | 5.7 | 36.2 | -13.6% |
46 | 青森県 | 5.2 | 34.6 | -13.3% |
47 | 秋田県 | 5.0 | 34.0 | -9.1% |