2014年度の都道府県別耕地放棄面積は、福島県が25,226ha(偏差値78.1)で全国1位、東京都が956ha(偏差値36.0)で最下位です。東日本大震災の影響や農業従事者の高齢化、後継者不足が主要因となっています。全国平均は8,497haで、地域間格差が顕著です。耕地放棄面積は日本の農業構造の変化、食料安全保障、地域経済の持続可能性を評価する上で重要な指標です。
概要
耕地放棄面積は、1年以上作物が栽培されず、今後数年間耕作される見込みのない農地の面積を示す指標です。日本の農業構造の変化、食料安全保障、地域経済の持続可能性を評価する上で重要です。自然災害の影響を受けた地域や中山間地域で問題が深刻化しています。
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上位県と下位県の比較
上位5県の詳細分析
福島県(1位)
25,226ha(偏差値78.1)。東日本大震災および原発事故の影響で農業活動が長期的に停滞し、除染作業や農業再開支援が進められています。
茨城県(2位)
23,918ha(偏差値75.9)。広大な関東平野に位置しながら、農業従事者の高齢化と後継者不足が深刻で、特に北部の中山間地域で耕地放棄が進行しています。
千葉県(3位)
19,062ha(偏差値67.5)。都市開発による宅地転用圧力や地価上昇が主な要因で、都市近郊農業が盛んな一方、農業継続が困難な地域も増えています。
北海道(4位)
18,654ha(偏差値66.7)。日本最大の農業地帯ですが、農業の大規模化に伴い小規模農家の離農が進み、条件不利地域での耕地放棄が問題となっています。
岩手県(5位)
17,428ha(偏差値64.6)。津波による農地被害に加え、高齢化と過疎化が複合的に影響し、農地の復旧と担い手確保が急務です。
下位5県の詳細分析
東京都(47位)
956ha(偏差値36.0)。農地面積自体が限られているものの、高い収益性を持つ都市農業が展開され、農産物直売所など安定した販路が確保されています。
大阪府(46位)
1,671ha(偏差値37.3)。大都市圏で農地は限られますが、都市部への食料供給を担う近郊農業が主体となっています。
福井県(45位)
1,974ha(偏差値37.8)。コシヒカリの主要産地として稲作が盛んであり、ブランド米による安定した農業経営が耕地放棄を抑制しています。
滋賀県(44位)
2,276ha(偏差値38.3)。琵琶湖周辺の肥沃な農地を活かし、近畿圏への農産物供給基地として安定した需要を確保しています。
沖縄県(43位)
2,445ha(偏差値38.6)。県土面積は限られますが、亜熱帯気候を活かしたサトウキビ栽培など、特色ある農業が展開されています。
地域別の特徴分析
関東地方
茨城県(23,918ha)と千葉県(19,062ha)が上位に位置し、都市化の進展による宅地転用圧力が耕地放棄を促進しています。一方、東京都(956ha)では高付加価値な都市農業が維持され、地域間の格差が顕著です。
関西地方
滋賀県(2,276ha)では琵琶湖周辺の肥沃な農地を活かした近畿圏への農産物供給が安定しており、耕地放棄が抑制されています。都市近郊農業の強みを活かした地域特性が見られます。
中部地方
福井県(1,974ha)はコシヒカリの主要産地として稲作が盛んであり、ブランド米による安定した農業経営が耕地放棄を抑制しています。中山間地域の課題はあるものの、特色ある農業が展開されています。
九州・沖縄地方
沖縄県(2,445ha)では県土面積は限られるものの、亜熱帯気候を活かしたサトウキビ栽培など特色ある農業が展開されています。地理的条件を活かした農業の可能性を示しています。
中国・四国地方
中山間地域が多く、地理的な条件不利性から耕地放棄が発生しやすい状況です。多くの県が全国平均前後に位置しており、持続可能な農業への支援が求められます。
東北・北海道地方
東日本大震災の影響が大きく、福島県(25,226ha)や岩手県(17,428ha)で耕地放棄が深刻です。北海道(18,654ha)では農業の大規模化に伴う小規模農家の離農が進み、高齢化と担い手不足という構造的課題も抱えています。
社会的・経済的影響
耕地放棄の拡大は、多岐にわたる社会的・経済的影響を及ぼします。
- 食料安全保障の低下:国内の食料生産基盤が縮小し、食料自給率の低下に直結します。
- 地域経済の衰退:農村地域の活力が失われ、農業関連産業の衰退を招きます。
- 環境・防災機能の喪失:農地が持つ水源涵養や洪水防止といった多面的機能が失われ、鳥獣害の増加や災害リスクの上昇につながります。
対策と今後の展望
耕地放棄問題に対応するため、以下の総合的な対策が求められます。
- 担い手の確保・育成:新規就農支援制度の拡充や農業教育の強化が不可欠です。
- 農地の集約と効率化:農地中間管理機構などを活用し、意欲ある担い手への農地集約を進め、効率的な大規模経営を推進します。
- 高付加価値化の推進:6次産業化やグリーンツーリズムなど観光農業への取り組みが重要です。
- 中山間地域の支援:中山間地域等直接支払制度などを通じて、条件不利地域の農業を支え、多面的機能を維持する必要があります。
統計データの基本情報と分析
指標 | 値ha |
---|---|
平均値 | 9,001.3 |
中央値 | 8,372 |
最大値 | 25,226(福島県) |
最小値 | 956(東京都) |
標準偏差 | 5,764.8 |
データ数 | 47件 |
平均値(約8,497ha)が中央値(8,372ha)を上回っており、一部の上位県が全体を引き上げる「右に裾が長い分布」を示しています。福島県(25,226ha)は東日本大震災という特殊要因により、統計的に突出した外れ値となっています。1位の福島県と47位の東京都の間には約26倍の差があり、地域間の格差が極めて大きいことがわかります。
分布の歪みは正の方向(右に裾が長い)を示しており、少数の県が極端に高い値を示す一方で、多くの県は中程度の水準に集中しています。四分位範囲を分析すると、上位25%の県と下位25%の県の間には大きな格差が存在し、地域間の農業環境の違いが明確に表れています。標準偏差は約6,800haと大きく、データのばらつきが非常に大きいことを示しており、全国的な対策の必要性を裏付けています。
まとめ
2014年度の耕地放棄面積ランキングから、日本の農業が直面する課題が明らかになりました。
- ランキング結果:1位は福島県、最下位は東京都となり、震災の影響や都市化の度合いが大きく反映されました。
- 主な要因:耕地放棄は、自然災害、高齢化、後継者不足、都市開発圧力など、各地域が抱える複合的な課題の結果です。
- 統計的特徴:一部の県が極端に高い値を示す一方で、多くの県は中程度の水準に集中しており、全国的な対策の必要性を示唆しています。
- 社会的影響:食料自給率の低下、地域経済の衰退、環境保全機能の喪失など、その影響は広範囲に及びます。
- 今後の対策:担い手確保、農地の集約、高付加価値化、そして中山間地域支援といった総合的なアプローチが、日本の農業の未来にとって不可欠です。
順位↓ | 都道府県 | 値 (ha) | 偏差値 | 前回比 |
---|---|---|---|---|
1 | 福島県 | 25,226 | 78.1 | +12.7% |
2 | 茨城県 | 23,918 | 75.9 | +13.3% |
3 | 千葉県 | 19,062 | 67.5 | +6.1% |
4 | 北海道 | 18,654 | 66.7 | +5.8% |
5 | 岩手県 | 17,428 | 64.6 | +25.1% |
6 | 青森県 | 17,320 | 64.4 | +13.9% |
7 | 長野県 | 16,776 | 63.5 | -2.2% |
8 | 群馬県 | 14,042 | 58.7 | +1.0% |
9 | 静岡県 | 12,843 | 56.7 | +2.8% |
10 | 埼玉県 | 12,728 | 56.5 | +2.7% |
11 | 熊本県 | 12,460 | 56.0 | +3.6% |
12 | 広島県 | 11,888 | 55.0 | +5.0% |
13 | 宮城県 | 11,692 | 54.7 | +20.3% |
14 | 岡山県 | 11,376 | 54.1 | +2.7% |
15 | 鹿児島県 | 11,253 | 53.9 | -4.5% |
16 | 長崎県 | 11,126 | 53.7 | -5.3% |
17 | 新潟県 | 10,560 | 52.7 | +11.7% |
18 | 愛媛県 | 10,305 | 52.3 | -1.1% |
19 | 栃木県 | 10,296 | 52.2 | +16.6% |
20 | 秋田県 | 9,530 | 50.9 | +28.6% |
21 | 山口県 | 8,606 | 49.3 | +5.3% |
22 | 愛知県 | 8,513 | 49.2 | +1.6% |
23 | 大分県 | 8,477 | 49.1 | +1.2% |
24 | 山形県 | 8,372 | 48.9 | +12.5% |
25 | 三重県 | 7,603 | 47.6 | +5.3% |
26 | 島根県 | 7,065 | 46.6 | +6.6% |
27 | 福岡県 | 6,992 | 46.5 | -2.7% |
28 | 兵庫県 | 6,908 | 46.4 | +20.2% |
29 | 岐阜県 | 6,188 | 45.1 | +12.7% |
30 | 香川県 | 6,094 | 45.0 | +18.2% |
31 | 石川県 | 5,817 | 44.5 | -4.5% |
32 | 山梨県 | 5,781 | 44.4 | -0.1% |
33 | 佐賀県 | 5,069 | 43.2 | +6.1% |
34 | 宮崎県 | 5,026 | 43.1 | +7.4% |
35 | 和歌山県 | 4,661 | 42.5 | +10.2% |
36 | 徳島県 | 4,577 | 42.3 | +2.5% |
37 | 高知県 | 3,921 | 41.2 | +0.0% |
38 | 鳥取県 | 3,832 | 41.0 | +6.0% |
39 | 奈良県 | 3,633 | 40.7 | +1.1% |
40 | 京都府 | 3,098 | 39.8 | +8.7% |
41 | 富山県 | 2,527 | 38.8 | +17.3% |
42 | 神奈川県 | 2,497 | 38.7 | -3.5% |
43 | 沖縄県 | 2,445 | 38.6 | -18.3% |
44 | 滋賀県 | 2,276 | 38.3 | +9.8% |
45 | 福井県 | 1,974 | 37.8 | +13.6% |
46 | 大阪府 | 1,671 | 37.3 | +0.4% |
47 | 東京都 | 956 | 36.0 | -3.5% |