都道府県別立体横断施設数ランキング(2022年度)

はじめに

立体横断施設は、歩行者や自転車の安全な道路横断を確保するために設置される歩道橋や地下道などの施設です。道路交通の安全性向上と交通渋滞の緩和に重要な役割を果たしています。本記事では、2022年度の都道府県別立体横断施設数(道路実延長千km当たり)のランキングを詳しく分析します。

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上位県と下位県の比較

上位5県の詳細分析

1位:東京都(46.18所、偏差値85.1)

東京都は圧倒的な1位で、道路実延長千km当たり46.18所(偏差値85.1)の立体横断施設を有しています。都市部の高密度な交通環境と多数の歩行者に対応するため、歩道橋や地下道が数多く整備されています。

2位:大阪府(44.59所、偏差値83.4)

大阪府は44.59所(偏差値83.4)で2位となっています。関西圏の中心都市として、交通量の多い主要道路に立体横断施設が充実しており、東京都に次ぐ高い整備水準を示しています。

3位:神奈川県(37.34所、偏差値75.9)

神奈川県は37.34所(偏差値75.9)で3位です。横浜市や川崎市などの大都市圏を抱え、人口密度の高い地域での歩行者安全対策として立体横断施設の整備が進んでいます。

4位:愛知県(26.64所、偏差値64.7)

愛知県は26.64所(偏差値64.7)で4位となっています。名古屋市を中心とした中京圏の主要な交通拠点として、自動車交通と歩行者の安全な共存を図る施設整備が行われています。

5位:岐阜県(22.40所、偏差値60.3)

岐阜県は22.40所(偏差値60.3)で5位に位置しています。中部地方の交通要衝として、主要幹線道路での歩行者安全対策が重視されていることがうかがえます。

下位5県の詳細分析

47位:北海道(3.28所、偏差値40.4)

北海道は最下位で、道路実延長千km当たり3.28所(偏差値40.4)となっています。広大な面積と比較的低い人口密度により、立体横断施設の必要性が他県と比べて低いことが要因と考えられます。

46位:鹿児島県(3.43所、偏差値40.6)

鹿児島県は3.43所(偏差値40.6)で46位です。地方部では交通量や歩行者数が相対的に少なく、立体横断施設の整備優先度が低い状況にあります。

45位:岩手県(3.44所、偏差値40.6)

岩手県は3.44所(偏差値40.6)で45位となっています。東北地方の内陸部として、都市部ほどの立体横断施設整備の必要性が低いことが影響しています。

44位:秋田県(3.71所、偏差値40.8)

秋田県は3.71所(偏差値40.8)で44位です。人口減少が進む地域として、新規インフラ整備よりも既存施設の維持管理に重点が置かれている可能性があります。

43位:高知県(3.72所、偏差値40.9)

高知県は3.72所(偏差値40.9)で43位となっています。四国の南部に位置し、山間部が多い地形特性により、立体横断施設の設置場所が限定されることが要因の一つと考えられます。

地域別の特徴分析

首都圏の高い整備水準

東京都、神奈川県、埼玉県など首都圏では、人口密度の高さと交通量の多さから立体横断施設の整備が充実しています。特に東京都と神奈川県は全国でも突出した数値を示しています。

関西圏の積極的整備

大阪府、兵庫県、奈良県など関西圏でも高い整備水準を維持しており、都市部での歩行者安全対策が重視されていることがわかります。

中部地方の特徴

愛知県や岐阜県が上位にランクインしており、中京圏を中心とした経済活動の活発な地域での整備が進んでいます。

地方部の課題

北海道、東北地方、九州地方の一部では整備数が少なく、人口密度や交通量の違いが整備水準に影響していることが読み取れます。

格差と課題の考察

都市部と地方部の格差

最上位の東京都(46.18所)と最下位の北海道(3.28所)では約14倍の差があり、都市部と地方部で大きな格差が存在しています。この格差は人口密度、交通量、財政力などの違いが要因となっています。

交通安全対策の地域差

立体横断施設は歩行者の安全確保に直結するインフラであり、整備水準の地域差は交通安全対策の格差を表しています。特に高齢化が進む地方部では、歩行者の安全確保がより重要な課題となっています。

効率的な整備の必要性

限られた予算の中で効果的な立体横断施設整備を進めるには、交通量調査や事故統計に基づく科学的な設置計画が重要です。

統計データの基本情報と分析

分布の特徴

全国平均は約12.8所で、中央値は約9.6所となっています。平均値が中央値を上回っていることから、上位県の数値が全体を押し上げる右に歪んだ分布となっています。

ばらつきの分析

標準偏差は約9.8所と比較的大きく、都道府県間での整備水準に大きなばらつきがあることを示しています。特に東京都と大阪府の数値が外れ値として分布の右端に位置しています。

四分位範囲による分析

第1四分位(下位25%)は約5.5所、第3四分位(上位25%)は約15.8所となっており、中位50%の県は5.5所から15.8所の範囲に分布しています。

まとめ

2022年度の都道府県別立体横断施設数ランキングでは、東京都が圧倒的な1位となり、大阪府、神奈川県が続く結果となりました。首都圏と関西圏の大都市部で整備が充実している一方、地方部では整備数が少ない傾向が見られます。

立体横断施設は歩行者の安全確保と交通流の円滑化に重要な役割を果たすインフラです。今後は地域の特性や交通状況に応じた効率的な整備計画により、全国的な交通安全水準の向上が期待されます。特に高齢化が進む地域では、歩行者の安全を確保する立体横断施設の重要性がさらに高まっていくと考えられます。

出典