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都道府県別の医師数・病院数・病床数・国民医療費を地図とランキングで比較。医療体制の地域差を47都道府県のデータで確認できます。
指標数
13件
エリア
47都道府県
可視化
地図 + グラフ
データ
CSVDL 可
47 都道府県 × 2 指標の散布図。県をクリックで赤色ハイライト
X: 医師数 (人) / Y: 看護師・准看護師数 (人)
X: 医師数 (人) / Y: 一般病院数 (施設)
X: 医師数 (人) / Y: 一般病院病床数 (床)
白書から見る、なぜ西高東低・地方高医療費が生じるのか
日本の医療は、世界最高レベルの長寿社会を実現する一方で、47都道府県の間に医師数・病床数・一人当たり医療費の大きな格差を抱えている。単に「医師が多い/少ない」という総量比較ではなく、人口構造・医師養成の歴史・受療行動の3層で構造を読み解く必要がある。本稿では各種白書のデータを基にその構造を整理する。
社会保障給付費は2024年度予算ベースで137.8兆円(対GDP比22.4%)に達し、そのうち「医療」は42.8兆円(31.0%)を占める。個人ベースで見ると、一生涯にかかる医療費の平均は約2,900万円(令和4年度試算)であり、その大部分は高齢期に集中する。2025年には団塊の世代が全員75歳以上となり、医療・介護ニーズは爆発的に増大する。2040年には高齢者人口が約3,953万人とピークを迎える一方、現役世代は2020年比で1,000万人以上減少する見通しである。
(1) 人口構造と受療行動の乖離
医療費は年齢階級が上がるほど高くなる。既に高齢化が極度に進む地方部(東北等)では一人当たり医療費が必然的に高騰する。さらに「入院期間の長さ」という受療行動の差異も大きい。病床数が多い地域では入院医療への依存度が高くなる傾向があり、これが医療費の地域差として現れる。2025年に向けた地域医療構想では、高度急性期(約16万床)から回復期(約37.5万床)への機能分化と連携を進め、効率的な提供体制の構築が急がれている。
(2) 医師養成の歴史的経緯と新専門医制度
医師数は全国的に増加しているが、地域間・診療科間の偏在は解消されていない。西日本は歴史的に医学部設置数が多く、人口当たりの医師供給能力が高い状態が維持されてきた。一方、人口急増を経験した関東圏や医師不足が深刻な東北地方では供給が追いついていない。2018年度開始の「新専門医制度」は、若手医師が症例の豊富な都市部病院に集中するリスクを内包しており、政府は日本専門医機構を通じた都市部のシーリング設定や、卒業後に特定地域での勤務を条件とする「地域枠」で偏在是正を試みている。
(3) 医療提供側の効率性と財政状況
医療費格差は需要だけでなく供給側の効率性にも左右される。地方財政白書によれば、令和6年度の公立病院事業の経常収支は3,952億円の赤字と過去最大を更新し、赤字病院の割合は約83%に達する。不採算地区病院(310病院)を抱える地方自治体の財政負担は重く、診療報酬改定(物価高騰・賃上げ対応のプラス改定)も効率的な提供体制を構築できているかで効果が分かれる。
2024年4月から医師に時間外労働の上限規制(原則年960時間以内)が適用された。地域医療を維持しつつ規制を遵守するため、医師から看護師・診療放射線技師・救急救命士等への業務移管「タスク・シフト/シェア」が強力に推進されている。同時に、マイナ保険証の利用促進や全国医療情報プラットフォーム構築といった医療DXにより、無駄な重複投薬の抑制や適切な受診判断の促進が図られ、地域的な医療費のばらつき是正が目指されている。
都道府県ランキングを読むときは、医師数の絶対値だけでなく人口10万人当たりで見ること、そして高齢化率と組み合わせて「需要に対する供給の充足度」を読むことが重要である。たとえば「医師数上位=医療充実」とは限らない。西日本に医師が多いのは歴史的供給超過の側面が大きく、東北で少ないのは需要急増に養成が追いついていない構造問題である。同じ「医療費上位県」でも、高齢化率主因の県と、入院期間が長い(受療慣習主因)の県では必要な対策が異なる。47都道府県の順位そのものよりも、「なぜその水準なのか」を構造で説明できるかが、データの読み解きとして本質的である。
2025年問題から医療DX・JIHS創設まで
医療・健康分野は単独の課題ではなく、人口構造の激変・働き手の減少・デジタル化への適応が連動して進行する多層的な構造の中にある。各種白書から、特に重要度の高い5つの論点を整理する。
2025年には団塊の世代が全員75歳以上に達し、医療・介護需要が一段と高まる。さらに2040年には高齢者人口が約3,953万人とピークを迎える一方、現役世代(15〜64歳人口)が2025年比で1,000万人以上急減する2040年問題に直面する。
社会保障給付費は2024年度予算ベースで137.8兆円(対GDP比22.4%)、うち医療は42.8兆円。政府は「高齢者は支えられる側」という固定観念を払拭し、年齢を問わず負担能力に応じて支え合う全世代型社会保障への転換を急いでいる。2024年度開始の「健康日本21(第三次)」では2040年までに健康寿命を男女共に75歳以上とすることを目指し、生活習慣病予防と社会環境の質向上を両輪で進める。
2024年4月から医師に時間外労働の上限規制(原則年960時間以内/月100時間未満)が適用された。上限規制の遵守と地域医療の維持を両立させるため、医師から他の医療関係職種へ業務を移管・共同化する「タスク・シフト/シェア」が強力に推進されている。
診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士の業務範囲を拡大する法令改正が行われ、特定行為研修を修了した看護師の養成・活用も進む。医療従事者全体での専門性発揮と負担軽減により、限られた人的資源での質の高い医療提供が目指されている。
2025年目標の現行地域医療構想は病床の機能分化・連携が柱だった。一方、2040年を見据えた「新たな地域医療構想」では、入院医療だけでなく外来医療・在宅医療・介護との連携、医療人材確保までを包括的に扱う構想へと進化する。これまでの「回復期」に「高齢者等の急性期患者への対応」を加え「包括期機能」として再定義する検討が進む。
あわせて、患者が適切な医療を選択できるよう医療機関に機能の報告を求める「かかりつけ医機能報告制度」が2025年度から開始予定で、地域住民に身近な医療提供体制の可視化と強化が図られる。
深刻な労働力不足を補い、質の高い医療を効率的に提供するための切り札が医療DXである。政府は「医療DXの推進に関する工程表」に基づき、マイナ保険証の利用促進や「全国医療情報プラットフォーム」の構築を加速させている。救急搬送時や災害時にも、患者の同意のもとで薬剤情報や特定健診結果が迅速に共有され、安全で適切な処置が可能となる。
次世代医療基盤法の改正により、匿名・仮名化された医療情報の二次利活用が促進され、難病・希少疾患の創薬力強化や個別化医療(ゲノム医療等)の実現が期待される。
新型コロナ対応の経験を踏まえ、感染症危機管理体制が抜本的に強化されている。改正感染症法に基づき、都道府県と医療機関の間で病床確保等に関する「医療措置協定」の締結が進み、2025年1月時点で病床約4.9万床、発熱外来約4.0万機関が確保されている。
さらに2025年4月には、国立感染症研究所と国立国際医療研究センター(NCGM)を統合し「国立健康危機管理研究機構(JIHS)」を設立。感染症インテリジェンスのハブとして、科学的知見の集約、迅速なリスク評価、創薬・ワクチン開発、有事の高度な臨床機能提供を一気通貫で担う。
医療・健康について読者が気になる 7 問
全国的に医師数は増加しているが、「西高東低」と呼ばれる地域偏在が続いている。これは歴史的に西日本の医学部設置数が多く、養成・供給能力が高い状態が維持されてきた一方、人口が急増した関東圏や東北地方では供給が追いついていないため。2018年度開始の新専門医制度の影響で若手医師が症例の豊富な都市部に集中するリスクもあり、政府は都市部の採用数上限(シーリング)や、卒業後に特定地域で働く「地域枠」で是正を図っている。(出典: 厚生労働白書 令和7年版)
2つの特徴がある。第一に高齢化率の高さ。医療費は年齢とともに増加し、一生涯にかかる費用の多くが高齢期に集中するため、高齢者が多い県ほど一人当たり医療費も高くなる。第二に入院期間の長さといった受療行動の差異。病床数が多い地域では入院医療への依存度が高くなる傾向があり、国は地域医療構想を通じて過剰病床の整理や効率的な医療提供体制への転換を急いでいる。(出典: 厚生労働白書 令和7年版)
平均寿命は「生まれてから亡くなるまでの期間」だが、健康寿命は「日常生活に制限がない期間の平均」を指す。日本は世界最高レベルの長寿国で、2022年時点で健康寿命は男性72.57年、女性75.45年。平均寿命との間には約9〜12年の差があり、この期間は本人のQOL低下と医療・介護費の増大を招くため、政府は2040年までに健康寿命を男女共に75歳以上とすることを目指している。(出典: 厚生労働白書 令和7年版)
2025年は約800万人の団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者に達する節目の年。医療・介護ニーズが爆発的に増大し、現役世代の負担が限界に達することが懸念される。これに対応するため、病院完結型の医療から、住み慣れた地域で医療・介護・生活支援を一体的に受ける「地域包括ケアシステム」への転換が進められている。2040年に向けては支え手となる生産年齢人口の急減も踏まえた効率化が一段と求められる。(出典: 厚生労働白書 令和7年版)
国は「医師確保計画」を策定し、都道府県ごとの「医師偏在指標」を基に具体策を講じている。主な施策は、医学部入学定員に特定地域での勤務を条件とする「地域枠」の設定や、不足地域での勤務を評価する認定制度の創設。2024年4月施行の医師の働き方改革(時間外労働規制)を受け、医師の業務を看護師等へ移管する「タスク・シフト/シェア」や、遠隔医療導入による効率化も強力に推進されている。(出典: 厚生労働白書 令和7年版)
将来の人口構造を見据えて病床(病院のベッド)の機能を役割分担させる仕組み。これまでは多くの病院が「急性期」を目指していたが、今後は「回復期」や在宅医療復帰を支える機能を強化する。患者は状態に合わせた適切な場所で質の高い医療を効率的に受けられるようになる。2025年度からは「かかりつけ医機能報告制度」が始まり、身近な医療機関がどのような役割を担っているかが可視化される。(出典: 厚生労働白書 令和7年版)
自治体や保険者による受診勧奨の熱心さや利便性によって差が生じている。特定健診の実施率が高い地域ほど、生活習慣病の重症化を予防でき、中長期的な医療費の適正化につながる傾向がある。特に女性のがん検診受診率は徐々に上昇しているものの依然として5割に届かない項目が多く、地域間での啓発の差も指摘されている。国はマイナ保険証を活用した医療情報共有(医療DX)により、個人の健康状態に合わせた適切な受診判断を支援する体制を整えている。(出典: 厚生労働白書 令和7年版)
県内の医療機関のうち過疎地域に立地する割合を 47 都道府県で可視化します。 地図の県をクリックすると、過疎地域(面)と医療機関(点)の重なりを詳細表示します。