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平均給与は東京1強でも県の差はわずか1.2倍|なぜ「地方在住×都市部給与」が効くのか (2024)

「給料を上げたいなら都会へ」とよく言われます。確かに平均給与が最も高いのは東京都で、月額47.1万円(2024年)です。けれども、最下位の佐賀県(39.5万円)と比べても、その差は約1.2倍にとどまります。職種による2〜3倍の年収差と比べると、都道府県間の給与格差は意外なほど小さいのです。

しかも、全国平均の給与月額は2012年の43.0万円から2024年の41.9万円へと、12年でむしろ微減しています。賃金が伸び悩む中で、住む場所を変えずに収入を上げる方法はあるのでしょうか。本記事では2024年の平均給与を47都道府県で読み解き、リモート転職による「地方在住×都市部給与」という選択肢を検証していきます。

NOTE

データは厚生労働省「賃金構造基本統計調査」をもとにした全職種の平均給与月額(きまって支給する現金給与額)です。賞与は含みません。産業構成により地域差が生じ、物価・家賃水準を加味すると実質的な豊かさの順位は変わる点に注意してください。

平均給与ランキングの全体像 — 東京1強でも差は約1.2倍

上位は東京都(47.1万円)、大阪府(44.7万円)、神奈川県(44.7万円)、愛知県(43.9万円)、静岡県(43.9万円)と続きます。下位は佐賀県(39.5万円)、長野県(39.8万円)、高知県と山口県(ともに40.2万円)です。全国平均は41.9万円で、9位の岩手県でも42.9万円と、全国平均からの距離はわずか1.0万円ほどしかありません。

平均給与月額(全職種)都道府県ランキング(2024年)

なぜ上位に東京・大阪・神奈川・愛知が並ぶのでしょうか。これらは本社機能や高付加価値産業が集積する地域で、管理職比率が高く、製造業・情報通信業など賃金水準の高い産業の構成比が大きいことが背景にあります。一方の下位には、第一次産業やサービス業の比率が相対的に高い県が並びます。つまり給与の高低は「県そのものの豊かさ」ではなく、その県にどんな産業・職種が集まっているかという構成の差を映していると言えます。

ただし注目すべきは、上位も下位も平均の前後数万円に収まり、47都道府県が極端に狭いレンジへ密集している点です。1位と最下位の開きが約1.2倍にすぎないということは、住む県を変えても給与水準はほとんど動かないことを意味します。年収を動かす主因は「どこに住むか」ではなく「どの企業の給与テーブルに乗るか」にあるのです。

都道府県別の平均給与ランキングを詳しく見る

WARNING

この狭いレンジは「順位の入れ替わりが起きやすい」ことも意味します。9位の岩手(42.9万円)と全国平均(41.9万円)の差はわずか1.0万円で、年による産業構成のわずかな変動で順位が大きく前後します。「何位か」よりも「全国平均からの距離」で読むほうが実態を捉えやすいでしょう。

全国平均は微減 — 「待っていても上がらない」賃金

時系列で見ると厳しさが浮かびます。全国平均は2012年の43.0万円から2024年の41.9万円へと、12年で微減しました。物価上昇下での名目給与の停滞は、実質的な手取りの目減りを意味します。

平均給与月額(全職種)全国平均の推移(2012〜2024年)

この推移が示すのは、賃金は黙っていても下支えされる時代ではなくなっているという現実です。2017年あたりから緩やかに低下し、2020年以降は42万円を割り込みました。在籍を続ければ定期昇給で自然に上がっていく、という前提が以前より弱まっていることが、12年トレンドからは読み取れます。

NOTE

直近は底打ちの兆しもあります。2023年の41.6万円から2024年は41.9万円へと前年比で反転しました。ただし12年トレンドで見れば依然として2012年水準を下回っており、「在籍を続ければ自然に上がる」局面に戻ったとまでは言えません。

賃金を上げる主導権は、会社が定期昇給で運んでくれるものから、自分がより高い給与水準の企業・職種を選ぶ側へと移りつつあります。だからこそ、収入を増やす設計は「どこに住むか」だけでなく「どの企業でどう働くか」を含めて考える必要があるのです。

家賃の地域差は給与の2倍以上 — 真因は「出ていくお金」にある

給与だけを見ても、手元に残る金額は見えてきません。可処分所得を左右するもう一方の柱、家賃を同じ47都道府県で並べると、給与とは桁違いの開きが現れます。

民営家賃(3.3m²あたり)都道府県ランキング(2024年)

民営家賃(3.3m²あたり)の最上位は東京都の9,736円、最下位は和歌山県の3,442円です(2024年)。その開きは約2.8倍。給与の地域差が約1.2倍だったのに対し、家賃の地域差はその2倍を超える大きさです。神奈川(6,670円)、大阪(6,182円)、京都(5,962円)、埼玉(5,837円)と、上位は給与上位とほぼ重なる都市部が占めます。

都道府県別の民営家賃ランキングを詳しく見る

ここに「給与差は小さいのに家賃差は大きい」という非対称が見えます。東京は給与で佐賀より約1.19倍多い一方、家賃は和歌山の約2.8倍。つまり額面で月数万円多く稼いでも、住居費の差がそれを上回りやすい構造です。手元にいくら残るか(可処分所得)は、給与から家賃・物価を引いた後で決まるため、給与の順位より家賃の地域差のほうが効いてきます。

TIP

給与ランキングだけでなく「給与−家賃」で見ると、順位は入れ替わります。給与差が約1.2倍、家賃差が約2.8倍なら、都市部水準の給与を保ったまま家賃の安い地域に住むほうが、額面を多少上げるより可処分所得は増えやすい計算です。額面年収の高さに惑わされず、住居費を引いた「実質手取り」で比較する視点を持つと、地域選びの判断が変わります。

地域差が小さいからこそ「働く場所」を選べる

ここまでで2つの事実が出そろいました。給与の地域差は約1.2倍と小さく、家賃の地域差は約2.8倍と大きい。この非対称を前提にすると、収入を増やす設計は「どこに住むか」から「給与と居住地の組み合わせをどう選ぶか」へと変わります。

都市部水準の給与を保ったまま家賃の安い地域に住めれば、額面年収を多少上げるより可処分所得は増えやすくなります。リモートワークは、この「給与は都市部・生活コストは地方」という組み合わせを初めて現実的にした手段です。勤務地と居住地を切り離せるようになったことで、東京の企業に在籍しながら家賃の安い地方に住むという働き方が選べるようになりました。給与ランキングの順位を1つ2つ上げるよりも、この組み合わせを実現するほうが、可処分所得への効き目は大きくなります。

都道府県別テレワーク実施率ランキングも見る

まとめ — 勝負どころは「住む場所」から「働き方の設計」へ

平均給与データが示すのは、次の2点です。

  • 地域差は約1.2倍と小さく、住む県を変えても給与水準はほとんど動きません
  • 全国平均は12年で微減し、待っていても上がりにくい局面が続いています

この状況で収入を増やすには、住む県を変えるよりも、給与の高い企業へ移り、なおかつ生活コストの低い地域に住む組み合わせを選ぶことが効きます。額面の給与ランキングだけを眺めても見えてこないのは、最終的に手元へ残る金額――可処分所得という一点なのです。

データ出典

  • 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(e-Stat 統計データ、2012〜2024年)
  • 平均給与月額はきまって支給する現金給与額(賞与を除く)。産業構成により地域差が生じます

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