都道府県別防犯ボランティア構成員数ランキング(2023年度)
概要
防犯ボランティア構成員数は、地域の防犯活動に携わる市民ボランティアの総数を示す重要な指標です。この統計は、自主防犯組織、防犯パトロール隊、見守り活動団体などに参加する構成員の人数を都道府県別に集計したものです。
2023年度のデータを見ると、全国平均は62,913人となっており、都道府県間で大きな格差が存在することが明らかになっています。首都圏を中心とした人口集中地域で構成員数が多い一方、人口減少が進む地方部では組織の維持に課題を抱えている状況が浮き彫りになりました。
この指標は、地域住民の防犯意識の高さや共助体制の充実度を表すものであり、安全で安心な地域社会の構築において重要な役割を果たしています。
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上位5県の特徴分析
埼玉県が291,068人(偏差値89.1)で圧倒的な1位を占めています。県内各地域で自主防犯組織の結成が積極的に進められており、住宅地を中心とした見守り活動や通学路での安全確保活動が充実しています。人口規模に加えて、地域コミュニティの結束力の強さが高い構成員数につながっていると考えられます。
神奈川県は261,236人(偏差値84.2)で2位となり、埼玉県に次ぐ高い水準を示しています。横浜市や川崎市など大都市部での組織的な防犯活動に加え、住宅地域での自治会を中心とした防犯ボランティア活動が活発に行われています。
千葉県は164,726人(偏差値68.6)で3位に位置しています。東京近郊のベッドタウンとしての特性から、通勤者の家族を中心とした地域防犯活動が展開されており、特に子どもの安全確保を目的とした活動が充実しています。
大阪府は161,642人(偏差値68.1)で4位となり、関西地域での防犯ボランティア活動の中心的役割を果たしています。都市部特有の多様な防犯課題に対応するため、地域住民による幅広い活動が行われています。
福岡県は124,875人(偏差値62.2)で5位に入り、九州地域では最も多い構成員数となっています。福岡市を中心とした都市部での活動に加え、地域コミュニティの結束を活かした防犯活動が県全体で展開されています。
下位5県の課題分析
青森県は5,500人(偏差値42.9)で最下位となっています。人口減少と高齢化の進行により、防犯ボランティア活動の担い手確保が困難な状況にあります。地域コミュニティの維持と併せて、持続可能な防犯体制の構築が急務となっています。
徳島県は6,591人(偏差値43.0)で46位に位置しています。四国地域特有の人口分散と高齢化の影響で、組織的な防犯活動の展開に制約があり、新たな参加者の確保が課題となっています。
鳥取県は7,015人(偏差値43.1)で45位となっています。全国最少の人口規模が影響しており、防犯ボランティア組織の規模拡大には限界があるものの、人口比での活動密度向上が求められています。
秋田県は7,883人(偏差値43.2)で44位に位置しています。急速な人口減少と若年層の流出により、防犯活動の継続性に懸念があり、効率的な活動体制の確立が重要な課題となっています。
高知県は8,677人(偏差値43.4)で43位となっています。中山間地域が多い地理的特性と人口減少の影響で、広域にわたる防犯活動の展開に困難を抱えており、地域特性に応じた活動モデルの構築が必要です。
地域別特徴分析
関東地域では、埼玉県、神奈川県、千葉県が上位3位を占め、東京都も上位に位置するなど、首都圏全体で防犯ボランティア活動が非常に活発です。人口集中に伴う防犯ニーズの高まりと、住民の防犯意識の向上が構成員数の多さにつながっています。
近畿地域では、大阪府が4位と高い水準にある一方、他府県との格差が見られます。都市部と地方部での活動密度の違いが地域内格差として現れています。
九州・沖縄地域では、福岡県が5位と突出しており、他県との間に大きな差があります。地域の中心都市を擁する県とその他の県との間での活動規模の違いが顕著です。
中国・四国地域では、全体的に構成員数が少ない傾向にあり、特に四国4県がいずれも下位に位置しています。人口減少と高齢化の影響が地域全体の防犯ボランティア活動に制約を与えています。
東北地域では、地域内での格差が大きく、人口規模と都市化の程度が構成員数に大きく影響していることが明らかです。
北海道・中部地域では、札幌市や名古屋市などの大都市を擁する道県で相対的に高い水準を示している一方、その他の地域では地理的条件が活動展開の制約となっています。
格差と課題の考察
最上位の埼玉県(291,068人)と最下位の青森県(5,500人)の間には約53倍の格差があり、都道府県間の大きな差が浮き彫りになっています。この格差は単純な人口比を超えた構造的な要因が存在することを示しています。
人口集中地域では防犯ニーズの高まりと住民の防犯意識の向上により活動が活発化している一方、人口減少地域では担い手不足により組織維持が困難になっているという二極化が進んでいます。特に地方部では、高齢化の進行により新たな参加者の確保が困難となっており、持続可能な防犯体制の構築が重要な課題となっています。
この格差は地域の安全確保体制にも影響を与える可能性があり、地域特性に応じた防犯活動モデルの開発や、効率的な活動支援体制の構築が求められています。また、デジタル技術の活用による活動の効率化や、広域連携による資源の有効活用なども検討すべき課題です。
統計データの詳細分析
平均値(62,913人)と中央値の比較では、上位県の高い数値が平均を押し上げている状況が見られ、データ分布に正の歪みが存在しています。特に上位5県が全体の平均を大きく上回っており、これらの県が全国の防犯ボランティア活動を牽引している状況が統計的にも確認できます。
標準偏差から見るばらつきの程度は相当に大きく、都道府県間での防犯ボランティア構成員数の格差が統計的にも顕著であることを示しています。この大きな格差は、地域の人口規模、都市化の程度、地域コミュニティの結束力、防犯に対する住民意識など、複合的な要因によるものと考えられます。
四分位範囲による分析では、下位25%の都道府県と上位25%の都道府県の間に極めて大きな差があることが確認でき、防犯ボランティア活動における地域間格差の深刻さを物語っています。
まとめ
- 埼玉県、神奈川県、千葉県の首都圏3県が上位を占め、都市部での防犯ボランティア活動が特に活発
- 最上位県と最下位県の間に約53倍の格差があり、都道府県間の差が極めて大きい
- 人口集中地域では活動が活発化する一方、人口減少地域では組織維持に課題
- 地域コミュニティの結束力と住民の防犯意識が構成員数に大きく影響
- 高齢化と若年層流出により、地方部での担い手確保が深刻な課題
今後は、地域特性に応じた効率的な防犯活動モデルの開発と、持続可能な組織運営体制の構築が重要な課題となります。また、デジタル技術の活用や広域連携の推進により、限られた人的資源を有効活用する取り組みも必要です。継続的なデータ収集により、各地域の活動状況の変化を注意深く監視し、適切な支援策を講じることが求められています。