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都道府県別の離職率・転職率・有効求人倍率・テレワーク率から雇用の流動性を比較。47都道府県の労働市場タイプを可視化します。
指標数
8件
エリア
47都道府県
可視化
地図 + グラフ
データ
CSVDL 可
47 都道府県 × 2 指標の散布図。県をクリックで赤色ハイライト
X: 離職率 (%) / Y: 転職率 (%)
X: 離職率 (%) / Y: 有効求人倍率 (倍)
X: 離職率 (%) / Y: 完全失業率 (%)
白書から見る、なぜ都市部で転職市場が活発で地方でテレワーク率が低いのか
日本の労働市場は「長期的かつ粘着的な人手不足」という新局面にあり、2024年の有効求人倍率は1.25倍と11年連続で1倍超を維持している。一方で、東京・愛知の都市部と地方では、転職市場の活発さ、テレワーク率、職種ミスマッチの度合いに大きな差がある。本稿では各種白書のデータを基にその構造を読み解く。
2024年の転職者数は331万人で3年連続増加。前職の離職理由として「より良い条件の仕事を探すため」が3年連続で増加しており、前向きな労働移動が活発化している。ただし転職希望者は約1,000万人存在するのに対し、実際の転職率は4〜6%程度で長期的に横ばいである。
有効求人倍率の内訳には深刻な職種間ミスマッチがある。事務従事者は0.43倍と低水準である一方、保安職業は6.91倍、建設・採掘従事者は5.72倍と極めて高い。サービス職業の欠員率は平均を上回るが、管理職や事務職では低水準にとどまる。生産年齢人口は2020年の約7,500万人から2040年には約6,200万人へと毎年約60万人ペースで急減する見込みで、「供給制約」が経済成長のボトルネックとなる。
(1) 賃金水準と産業構造の集積
令和6年の所定内給与額は東京都が男女共に全国最高(男性44.1万円、女性33.8万円)で、青森県や沖縄県と大きな開きがある。東京圏の有効求人倍率と20代女性の転入超過数には極めて強い正の相関(r=0.88)がある。地方では「医療・福祉」に従事する正規雇用者の割合が高く(長崎県42.5%等)、職種が限定的である。対して愛知などの東海地方や北関東は「製造業」のシェアが高く、旺盛な労働需要から高い人手不足感が続いている。都市部には情報通信業や専門サービス業といった高賃金サービス業が集中しており、これが転職市場の活性化を促している。
(2) 入職経路と労働市場流動性の差
都市部では民間の職業紹介や求人広告経由の入職が増加している一方、地方部では依然としてハローワークや縁故を通じた入職の割合が高い。この経路の差が都市部での活発な労働移動を支えるインフラとなっている。さらに、若年層・特に女性の流出構造も大きい。都道府県間の人口移動は22歳をピークとした10代後半〜20代が中心で、東京圏への転入超過は女性が男性を上回って推移している(転入/転出比率: 女性2.9倍、男性2.2倍)。地方から転出した女性は出身地域に「家事・育児は女性の仕事」といった固定的な性別役割分担意識があったと感じる割合が高く、こうした「地域の閉塞感」が都市流出を加速させている。
(3) デジタル基盤と「働き方」の地域格差
テレワーク実施率(有業者ベース)は東京都34.0%、神奈川21.4%、千葉16.7%と都市部で突出。これはテレワークに適した「情報通信業」「専門・技術サービス業」が都市部に集中するため。一方、地方に多い建設業・運輸業・医療・福祉などの「現場職種」では、AIやデジタル技術による代替が難しく、テレワーク活用が進みにくい構造にある。副業希望者は増加傾向にあるが、自社での労働時間管理の困難さから副業を認めない企業も残る。地方では「労働者協同組合」による兼業での地域貢献といった新しい「複業」の萌芽もみられる。
政府は成長分野への円滑な労働移動と持続的賃上げを実現するため「三位一体の労働市場改革」を推進。リスキリング支援(教育訓練給付金の給付率上限引き上げ、2025年10月創設の教育訓練休暇給付金)、ジョブ型人事指針(2024年8月)、自社の枠を超えた労働移動の円滑化が3本柱である。「賃上げのノルム」として、今後5年間で実質賃金1%程度の上昇を新たな社会規範として定着させる目標を掲げ、最低賃金は2020年代に全国平均1,500円への引き上げが目指される。
有効求人倍率ランキングを読むときは、「総数」だけでなく職種別の内訳を確認することが重要。同じ「求人倍率が高い県」でも、製造業中心の県(愛知等)と建設業・運輸業の人手不足が深刻な県では必要な政策が異なる。テレワーク率も「ICT インフラの問題」と捉えがちだが、本質は産業構造(テレワーク可能職種の集積度)にある。47都道府県の順位そのものよりも、「なぜその水準なのか」を産業構造・賃金水準・人口流出と組み合わせて構造で説明できるかが、データの読み解きとして本質的である。
三位一体の労働市場改革から外国人材活用まで
労働市場・人材流動性の課題は、人口減少下での労働力確保と構造的な賃上げの定着を両輪としており、リスキリング・ジョブ型・賃上げ・多様な働き手の参画・生産性向上が連動して進行する。各種白書から、特に重要度の高い5つの論点を整理する。
生産年齢人口(15〜64歳)は2020年の約7,500万人から、2040年には約6,200万人へと毎年約60万人ペースで急減する見込み。景況感に関わらず人材が不足するこの「供給制約」は経済成長の深刻なボトルネックとなる。政府は「地方創生2.0」を通じて、人口規模が縮小しても社会を機能させるための適応策を推進し、デジタルの力を活用した地域社会DXや省人化・省力化投資が柱となっている。
成長分野への円滑な労働移動を促し、持続的な賃上げを実現するため、政府は「三位一体の労働市場改革」を強力に推進。働く個人が主体的に学び直しを選択できるよう、2024年10月から教育訓練給付金の給付率上限が引き上げられ、2025年10月には教育訓練を受けるための休暇取得を支援する「教育訓練休暇給付金」が創設される。
また、職務内容を明確にした「ジョブ型」人事制度の導入を促進するため、2024年8月に「ジョブ型人事指針」が取りまとめられた。スキルの可視化と適切な評価、自律的なキャリア形成を支援する環境整備が進む。
コストカット型経済から脱却し「賃上げを起点とした成長型経済」への移行が最優先課題。政府は今後5年間で持続的な物価上昇の下、実質賃金で1%程度の上昇を新たな社会規範(ノルム)として定着させることを目指す。
労働者の7割を雇用する中小企業の賃上げを後押しするため、労務費の適切な価格転嫁を徹底する「トラック・物流Gメン」の活動強化や、最低賃金を2020年代に全国平均1,500円に引き上げる目標に向けた支援策が講じられている。2024年度の現金給与総額は前年度比3.0%増と33年ぶりの高い伸びを記録したが、物価高の影響で実質賃金は0.0%の横ばいにとどまる。
女性の就業率は上昇し「M字カーブ」は解消に向かいつつあるが、出産・育児を機に非正規雇用へ転換する「L字カーブ」や男女間賃金格差が依然として課題。これに対し、共働き・共育てを支援する「出生後休業支援給付」や「育児時短就業給付」が2025年4月から創設される。
外国人材については2024年3月、特定技能制度の対象分野に「自動車運送業」や「鉄道」等4分野が新たに追加された。2028年度末までに最大約82万人の受入れを見込むなど、社会インフラを支える担い手としての期待が高まっている。
労働投入量の減少を補い、賃上げ原資を確保するための「稼ぐ力(労働生産性)」の向上が不可欠。深刻な人手不足に直面する建設・物流・医療分野において、AIやロボットによる自動化(自動運転レベル4、i-Construction 2.0等)が推進されている。
中小企業のIT投資については、大企業に比べ低い「ソフトウェア装備率」を向上させるため、IT導入補助金や事業再構築補助金を通じた投資支援が行われている。生産性の高い中小企業では大企業に匹敵する賃金水準が実現されていることも示されている。
労働移動・求人倍率について読者が気になる 7 問
2024年の全国平均は1.25倍だが、東京都・愛知県など都市部・製造業集積地で高く、地方では低い傾向がある。都市部には情報通信業や専門サービス業など高賃金で多様な職種が集中し、旺盛な労働需要を生んでいる。一方、地方では「医療・福祉」に従事する正規雇用者の割合が高く(長崎県42.5%等)、職種が限定的。賃金水準の差(東京都の所定内給与は男性44.1万円、青森・沖縄等は大きな開き)が若年層を都市部に引き寄せ、地方の労働需給を緩めている。(出典: 労働経済白書 令和7年版)
離職率は雇用形態と産業構造に強く左右される。宿泊業・飲食サービス業・小売業など非正規雇用比率が高い産業が集積する観光地・都市部では離職率が高くなる傾向にある。一方、製造業中心で年功的雇用慣行が残る地域では離職率は低い。注目すべきは離職理由で、最新白書では「より良い条件の仕事を探すため」という前向き理由が3年連続で増加しており、転職者数は2024年に331万人に達している。離職率の高低だけでなく、その内訳を見る視点が重要。(出典: 労働経済白書 令和7年版)
テレワーク実施率(有業者ベース)は東京都が34.0%と突出して高く、神奈川21.4%・千葉16.7%が続く。これはテレワークに適した「情報通信業」「専門・技術サービス業」が都市部に集中しているため。一方、地方に多い建設業・運輸業・医療・福祉などの「現場職種」ではAIやデジタル技術による代替が難しく、テレワーク活用が進みにくい構造にある。テレワーク率の低さは「ICTインフラの遅れ」ではなく、産業構造の差として読み解く必要がある。(出典: 労働経済白書 令和7年版)
副業希望者は近年増加傾向にあり、リスキリングや収入補完、自律的キャリア形成の手段として注目されている。ただし企業側では自社の労働時間管理の困難さから副業を認めない例も残る。地方では「労働者協同組合」による兼業での地域貢献(岐阜県東白川村等)といった、新しい形の「複業」による地域課題解決の萌芽もみられる。副業率が高い地域は労働市場の流動性が高い証左である一方、生活費補完目的の副業比率も含むため、内訳を見る視点が必要。(出典: 労働経済白書 令和7年版)
失業率は労働市場の需給だけでなく、産業構造や年齢構成によっても変動する。日本全体の失業率は近年低水準(2〜3%台)で推移しているが、地域差は依然存在する。注目すべきは「欠員率」との関係で、欠員率は全体で2.8%まで上昇しており、求人があっても採用に至らないミスマッチが拡大している。職種別に見ると事務職は0.43倍と低水準だが、保安職業は6.91倍、建設・採掘従事者は5.72倍と人手不足が深刻。失業率の低さと人手不足が同居する構造を理解することが重要。(出典: 労働経済白書 令和7年版)
建設・物流・医療・福祉が代表的。建設・採掘従事者の有効求人倍率は5.72倍、保安職業は6.91倍と極めて高水準。物流分野では「2030年問題」(ドライバー不足による輸送能力34.1%減)が指摘される。介護分野は2040年度に約272万人が必要とされ、約57万人の追加確保が課題。これら現場職種はテレワーク等の柔軟な働き方が難しく、AI・ロボットによる省人化(自動運転レベル4、i-Construction 2.0等)と、特定技能制度による外国人材活用(2028年度末までに最大約82万人)が政策の柱になっている。(出典: 労働経済白書 令和7年版 / 厚生労働白書 令和7年版)
政府は「三位一体の労働市場改革」の一環として、教育訓練給付金の給付率上限引き上げ(2024年10月)、教育訓練を受けるための休暇取得を支援する「教育訓練休暇給付金」創設(2025年10月)を実施。あわせて、職務内容を明確にした「ジョブ型」人事制度導入を促進する「ジョブ型人事指針」(2024年8月)を取りまとめ、スキルの可視化と適切な評価、自律的キャリア形成を支援する環境整備が進む。これらは成長分野への円滑な労働移動と持続的賃上げの実現が目的。(出典: 労働経済白書 令和7年版)